Boaz2012-09-26

君に届け」17巻を買っておいたのだが、長い間読んでいなかった
ので、14巻あたりから読み返してみた。

君に届け 17 (マーガレットコミックス)

君に届け 17 (マーガレットコミックス)

もう少女マンガはこの作品ぐらいしか読んでいないので、最近の傾向
はまったく分からないのだが、キャラクター設定が実によくできている
ことに今さらながら気がついた。


主人公の黒沼爽子は地味で真面目な子。
親友のひとり矢野あやねはギャル系。
もうひとり吉田千鶴は体育会系。


本来なら同じグループに属することのない三人が一緒になっている。
スクールカーストが厳しい学校なら考えられない組み合わせだ。


だが、この三人が恋愛という軸で悩むから、読者はキャラクターの
どれかに必ず感情移入できる。実にうまい設定である。


そして、私が読んだ古い少女マンガならば、爽子が風早くんと相思相愛
になったところでハッピーエンドになるはずである。
が、このマンガがすごいのは、そこから先を丁寧に描いていることだ。


しかも、爽子の恋愛が一応片付いたら、千鶴やあやねの恋愛も重なって、
それぞれが幸せになろうとがんばっている。


爽子と風早くんは、キスするかどうかでモヤモヤしているのに、あやね
はキスとかは当たり前にしている。千鶴はキス以前の問題。
つまり恋愛のレイヤーが違っているけれど、読者は彼女たちのそれぞれの
傷つき方に共感できる。そこが素晴らしい。


それにしても、彼女たちの恋愛対象は、高校生男子にしては大人っぽす
ぎる。特にケントくんの包容力は十代ではありえない。
一番リアルなのはジョーだろう。あいつに幸せは来るのだろうか……