ふたつのスピカ

ふたつのスピカ (7)

ふたつのスピカ (7)

この秋に最終巻が出るということで、とても楽しみにしている
マンガだ。


私はこの作品を、この春に放送されたNHKのドラマで知り、その
後でブックオフ大人買いをしてむさぼり読んだ。
傑作だった。


現在、BSハイビジョンで放送されているアニメも毎週楽しみに
しているが、この作品の絵はアニメにしづらいのか、若干の違
和感がある。


それはともかく、主人公の女の子は宇宙飛行士になるのが夢で、
そのための学校に通っている。


実は彼女には、幼いころから彼女にだけ見える“ライオンさん”
という幽霊(?)が身近にいて、助言をしたり慰めたりしてくれる。


欧米では、幼少期の子供に『イマジナリー・フレンド』と呼ばれる、
架空の存在が出現することがあるらしい。
その子にとってはリアルな存在だが、親や兄弟には見えない。
大人になるまでには消えてしまい、特に精神的に支障があるわ
けではない。


ライオンさんは、実は事故死した若い宇宙飛行士なのだが、主
人公の少女にとってはかけがえのない友達であり、兄のような
存在だ。


思春期になってもライオンさんは消えてなくならないが、おそ
らく最終巻では何らかの解決がつくだろう。


このような形で少女の疎外感を描いた作品は珍しいと思う。
少女マンガではあったかもしれないが、少年向けはほとんどな
かったのではなかろうか。


NHKのドラマでは、ライオンさんの設定は全てカットされていた。
実写の作品では表現が難しかったのだろう。
あるいは、自分にしか見えないものに語りかける少女は、放送上
問題があったのかもしれない。


それでも、私は主人公役に桜庭ななみをキャスティングしたのを
高く評価したいし、ドラマはドラマでとてもよくできていた。
ぜひ再放送してほしいと思う。


マンガ全体の感想は、完結してからまた書いてみたい。