おおかみこどもの雨と雪

何を置いても見に行くべき作品。未見の人は早く早く! 


細田守監督は、この次の作品がヒットすれば、確実に宮崎駿
後継者になれるだろう。
つまり、大企業が夏休み映画として安心して出資できる監督、
ということだ。
そのプレッシャーに潰されないでほしい。


動物の描写は、腕のあるアニメーターでもかなり難しいこと
らしい。しかし、この作品では見事に演出されていた。
特に幼児期の雪のやんちゃさと可愛らしさときたら、オッサン
をケモナーにさせる魅力にあふれている。


こういう動物の可愛らしさは、手塚治虫の「ジャングル大帝
以来の伝統か(それに影響を与えたのはディズニー映画だが)。
もしこの映画でケモナーに目覚めた人は、ぜひ「ジャングル大
帝」を読んでいただきたい。


全編でダレ場がなかったのも素晴らしかった。
その演出を大車輪で支えていたのは、母親の花役の宮崎あおい
だろう。
子育てで超人的な働きをするキャラクターを、嘘臭くならない
ように造形した手腕は見事だと思う。
(あと、部屋の中の本棚にある本が、本当に読書家のものだと
思わせるもので、こういう細かい描写も素晴らしい)


多くの人が「トトロ」との比較を試みるだろう。
私も頭のいい人の分析を読んでみたい。
きっと「おおかみこどもの雨と雪」は古典的な名作として残る
だろう。その作品を映画館で見た幸せを感じている。