21世紀の落語入門

21世紀の落語入門 (幻冬舎新書)

21世紀の落語入門 (幻冬舎新書)

私は小学館が刊行していた「昭和の名人」シリーズをせっせと
iPod に入れており、その中ではやはり古今亭志ん朝が最も好き
だった。
猫々先生は、志ん朝は合理的すぎるところがある、と評している
が、私はビギナーなのでその瑕疵にはまったく気がつかなかった。


そして、古今亭志ん生は実はよくわからない、というのもうなず
ける。特に晩年の録音は、ふがふがしていて凄さが伝わらない。
個人的には柳家小さん人間国宝だったのも腑に落ちない。


田舎に住んでいると、寄席などには滅多に行けない。
なので、昔の名人の録音を聴いて落語を楽しむのは正しいのだ、
と言ってもらえて安心できる。


惜しくも終了してしまったが「今どき落語」というテレビ番組
では、最近の落語家の噺を聴けてよかった。
私がうなったのは柳家喬太郎の「竹の水仙」と「紙入れ」だった。
たぶん、落語好きには既に評価は高いと思うのだが、もっと人気
が出たらいいな、と思う。


最後に、猫々先生は「終生ジャズはだめだろう」と書いている。
私もジャズに詳しいわけではないが、中山康樹の「マイルスを
聴け!」は入門書として良いのではないかと思う。


というのも、中山が発明した方法が優れていると思うからである。
それは、オフィシャルに発売されたマイルス・デイビスのCDを
年代順に掲載し、一作品につき見開き2ページであれはいいこれは
ダメと、全作品を解説しているからである。
必聴盤は4ページになっていたりして、かなり分かりやすい。


なお、なぜマイルス・デイビスに焦点を当てているかというと、
彼の組んだコンボからジョン・コルトレーンハービー・ハンコック
などの大成したプレイヤーが多数出ているので、派生的に好きな
人を広げることができるからである。


中山は、ジャズは初めて聴いた曲と、初めて感動した曲が一致しない、
と言っている。
落語もそうかもしれない。


できれば猫々先生には、「圓生百席」のような落語全集を片っ端
から解説してほしい。そんな暇はないと思うけど。