サマーウォーズ

見てきましたよ、サマーウォーズ
十分楽しめる面白い作品だったのですが、見終わってしばらく考えると
脚本がちょっと弱かったかな、とも思います。


(ネタバレがありますのでたたんでおきます)




私が思うに、設定上とても重要なアバターの説明が不十分だったのでは
ないかと。
仮想世界の中のアバターどうしがバトルをしたら、現実の世界ではどう
なるのか、というのがいまいちよく分かりませんでした。


素人考えからすると、アバターはまた作り直せばいいのではないか、と
思うのです。
アバターの唯一無二性を強調するのであれば、それに対する説明が必要
だったのではないでしょうか。


物語の構造としては、大家族と世界中の人が使う仮想世界という二つの
軸が交錯しているのですが、これって世界系の話ですよね。
これまでの世界系と違うのは、個人vs世界ではなく、大家族の集団vs
仮想世界であるということです。


つまり、人との絆を主眼にしている点が新しいのかな、と。
そのキーになるのは、当主であるおばあちゃんなのですが、残念なこと
に途中で亡くなってしまいます。


そのおばあちゃんの死によって、逆に大家族が団結していく。
お話の構成上、どうしてもそうせざるを得なかったのだと思いますが、
危篤状態にして、最終的には助かるという流れでもよかったのかな、と
思いました。


それぞれの専門性を生かして難題を解決していく、というメッセージは
これからの社会のありかたとして必要なことだと思うので、もしかした
ら、ひとつの転換点を予見した作品といえるのかもしれません。


もっとも、これは旧家のエリート層の話なので、フツーの庶民がどうこ
うできない次元の話ではあります。
私の親戚には自衛隊の情報関係に勤めている人や、甲子園に出場するよ
うな投手はいませんしね。


それでも、自分が社会に役立つ何かを持っていて、それを公共のために
使うということは、純粋な悪意に対する唯一の抵抗手段なのでしょう。


この映画の悪役は、暴走したプログラムということになっていますが、
我々のちょっとした悪意の集合体と見ることもできます。


便利なネットワークの影の部分に対して、私たちは家族のつながりや
現実のふれあいをよみがえらせるべきなのだ、というふうに受け取り
ました。