Boaz2013-09-22

ドラマ「半沢直樹」が終わった。
次のシリーズが楽しみだ。


このドラマでは、どういうわけか子供がほとんど出てこない。
ラノベを原作にした深夜アニメの多くで、主人公たち中高生の親が
出てこないのと同じである。


そういう構造なのは、どちらもファンタジーだからだ。


オッサンたちのファンタジーが高視聴率を叩きだしたのはどういう
理由か? 
それはオッサンの現実がとても辛いからである。



かつてこの枠は東芝日曜劇場だった。
基本的には家族のあれこれを描くドラマで、それを見ている視聴者も
感情移入できていた。


しかし、ドラマの家族とリアルな家族はある時期から乖離していき、
物語は個々人の内面に入り込むようになる。
家政婦のミタ」がヒットしたのは、家庭に異物が存在することで、
新しい家族に生まれ変わるというパターンだったからではないか。


半沢直樹」の最終回で、大和田常務がうちで見ていた映画がなぜか
小津安二郎の「東京物語」だったのは偶然ではあるまい。



深夜アニメは、そもそも家族を描くものではなく、少年の恋愛とか
少女たちの可愛さを表現するものだった。
そこにリアリティはなかったが、萌えはあった。


人がなぜ深夜アニメを見るかというと、現実に疲れているからだ。
リアルが充実していないからだ。
ファンタジーとはそういうものである。



ドラマ「半沢直樹」はファンタジーであることはすでに述べた。
ある意味では、地上波のドラマがようやく深夜アニメに追いついたと
言えよう。


このドラマが大ヒットしたことは、オッサンたちが現実の世界で
とても傷ついていることを意味している。


深夜アニメなんか見てないで彼女作れよ = 半沢直樹なんか見て
ないで正しい仕事をしろよ、である。
そんなのは無理だと分かっているから、せめてファンタジーを楽し
むのである。


若い女性は月9ドラマで、オタクは深夜アニメで、オバサンは韓国
ドラマでそれぞれの夢を見た。
今度はオッサンが「半沢直樹」で夢を見たのだ。



マーケティング的には、子供向けはすでにジブリアニメがあるので、
次は老人のファンタジーだろう。
妻に先立たれた裕福な老人が若い女性をとっかえひっかえするハーレム
ものなんて当たるんじゃないだろうか。