カンパリ

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初めてカンパリを飲んだのは、ロスに向かう飛行機の中でした。
まだ20代前半の若造だった私は、何かの小説でカンパリという名前の酒があることを知り、いつか
飲んでみたいものだと思ったのです。


いや、小説じゃなくてハリウッド映画だったかもしれない。
というのも、それが赤いお酒だということをなんとなく分かっていたから。


普段はビールか酎ハイぐらいしか飲まず、カクテルなんて女の飲むものだと思っていた私が、なん
カンパリを飲みたくなったのか、今となっては謎ですが、とにかくこのチャンスに注文するしか
ない、と気合を入れて頼んだのです。


カンパリ!」
そう告げると、キャビンアテンダントは少し首をかしげて
カンパリ?」
と復唱しました。
「イエース。カンパリ、プリーズ」
私は間違っているのかとドキドキしながらも、うわべはとりつくろってもう一度言いました。


しばらくしてキャビンアテンダントはプラスチックのコップにカンパリだけを注いで持ってきました。
これがカンパリかぁ‥‥。
私はコップを受け取ると、すぐに口をつけました。
(苦っ!)
予想と全く違った味だったので吐き出しそうになりながらも、一口ぐいっと飲み下しました。
ベタッとした後味に私は注文したことを後悔しました。


後から思うと笑い話なのですが、私はカンパリの原液を飲んでいたのですね。
注文するときはカンパリ with ソーダとか、カンパリ and オレンジと、何で割るか告げなければ
ならなかったのです。
キャビンアテンダントが怪訝な顔をしたのも、不思議ではありません。


何年かして、ようやく正しい(?)カンパリを飲むようになると、ほろ苦さとかすかな甘みが心地よく、
食前酒としてはもちろん、暑い時期にぴったりの酒だと分かりました。
なので夏になると酒屋でカンパリを一瓶買ってきて、ソーダやサイダーで割って飲むのが楽しみに
なったのです。


そう、ちょっと邪道かもしれませんが、苦いのがダメな人も、三ツ矢サイダーで割ればけっこうい
けます。後口が多少ねばっこくなりますが、ほどよい甘さがカンパリの味を引き立てるのです。
今はただの炭酸水で割るのが好きなのですが、当時はせっせと三ツ矢サイダーのペットボトルを買っ
ては冷蔵庫に入れて冷やしておりましたっけ。


いつか本場の地でカンパリを飲んでみたい、という野望を持ってイタリアに行ったのが、もう10年
ほど前です。
とあるレストランで食前酒に注文したカンパリの旨かったこと。
同じ味のはずですが、気分が高揚していたのでしょうね。


ここ数年は、夏にカンパリを飲むどころではなかったのですが、久しぶりに小さい瓶を買ってきて、
ソーダで割って飲んでいます。
自分で作ると、好みの濃さにできるからいいですね。ほろ酔いです。


本文と写真はまったく関係ありません

ごっちんカンパリを飲ませてみるの図