伊丹十三記念館

今年の5月にオープンした伊丹十三記念館にようやく行ってきた。
なかなか充実した展示内容だけに、交通のアクセスが悪いのがもったいない。


1時間もあれば一回りできるぐらいのこぢんまりした大きさで、きれいな中庭がある。
カフェも併設されており、そこには伊丹十三が好きだった飲み物や食べ物が味わえるし、十三饅頭
なるものも販売している。


というのも、伊丹十三の初監督作品「お葬式」に出資したのが一六本舗という菓子メーカーで、松山
に本社がある。この伊丹十三記念館一六本舗が土地を提供したものなので、カフェに饅頭を置く
ぐらいはわけはない。


ついでに言うと、伊丹十三が出演した一六タルトのCMは、ある年代の愛媛県人だったら誰でも憶え
ている名作である。もちろん、記念館内の展示で見ることができる。


記念館では、伊丹十三が生まれてから年代順に残した仕事内容などを展示しており、それぞれのこ
とを器用にこなしていたことが分かる。
意地の悪い見方をすれば、何でもそつなくこなすけれど、これといった画期的な仕事はしていない。


ところが50歳になってから映画を作り始め、これを期に伊丹十三は“何をやっているのかよく分か
らない人”から“ヒット作を連発する映画監督”にグレードアップする。
記念館の最後のコーナーには「お葬式」のセットやシナリオや絵コンテが展示されていて、かなり
力が入っているが、それ以降の作品にはほとんど触れられていない。ポスターがあるぐらいだ。


私は伊丹十三の映画では「タンポポ」という作品が一番好きなので、監督が描いた出演者の素描ぐ
らいしか展示されていないのが残念だった。
できれば期間をおいて、「お葬式」以外の映画も詳しく紹介してほしいと思う。


意外にも、と言ったら失礼かもしれないが、グッズが充実しており、伊丹十三の描いたネコの絵の
Tシャツや絵葉書は味わいがあってよかった。
他にも、分厚いガイドブックや伊丹十三の仕事をまとめたDVDも販売しており、彼の映画のファン
なら一度は訪れてみるべき場所だと思う。


本文と写真はまったく関係ありません

日付は去年のものです