昔、深夜にテレビでやっていた「戒厳令」という映画を見たことがある。
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2005/10/21
- メディア: DVD
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あまりに退屈だったので、途中で寝てしまったほどつまらなかった。
「一輝まんだら」は、手塚治虫が北一輝を主人公にした歴史マンガだが、掲載誌の都合で
打ち切られ、そのまま未完になっている。
内容の前半部分は、清朝の義和団の乱などが描かれており、舞台は中国である。
後半になってようやく北一輝が登場するが、これから活躍しようというところで終わって
いる。残念だ。
というわけで、このマンガで活躍するのは、姫三娘(き・さんじょう)という架空の中国
人娘である。
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1983/12/12
- メディア: コミック
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なぜ手塚がそういう造形にしたのかは謎だが、彼女は非常にバイタリティのある女性とし
て描かれている。
冒頭に税金を滞納したために役人に棒でぶたれたり、中盤で拷問を受けボロボロになるシ
ーンがあるが、三娘は気丈にも耐えてみせる。
美人に描いてしまうと、そういうたくましさが表現できないから、あえて鼻ペチャにした
のかもしれない。
なお、彼女は顔から下はナイスバディであり、男はその裸に誘惑される。
三娘は裸の男を見ると殺したくなるというトラウマをかかえているため、易々とセックス
できない。
このことを知った北一輝は、三娘のことを「神に近い女」と評するのである。
この時代の恋愛感については、小谷野敦の「恋愛の昭和史」などに詳しく書かれている。
歴史マンガなので、二二六事件までの道筋を描くことは分かっているのだが、架空の人物
たちがどのように関わっていくのか知りたかった。
三娘は手塚マンガの登場人物らしく、途中で悲劇的な死を迎えたのか、それとも最後まで
狂言回しを続けられたのか‥‥
非常に魅力的なキャラクターだっただけに、最後まで描かれなかったのが悔やまれる。
(他の手塚マンガで三娘を見たことがないのだが、出ていれば教えてください)
一点だけ不思議なところがある。
三娘は田舎の百姓で、字も読めないほど無学なのだが、日本語をすぐに覚えている。
マンガ的な処理だろうけど、ちょっと引っかかった。
この作品は「シュマリ」とほぼ同時期に連載されているが、手塚がどうして1974年前後に
明治時代の暗い部分を描こうとしたのか、よく分からない。
たまたま興味があったからだろうか。それとも、70年安保も終わり、左翼的な未来が色あ
せてゆくところと重なる部分があったのか。
謎の作品なのである。
本文と写真はまったく関係ありません
三娘を実写にするとしたら、まこっちゃんかなぁ