ミカン汁事件

先日、私の家であったことをお話します。
愛媛県の人なら誰でも分かると思うのですが、冬になると親戚や知り合いからいつの間にか大量の
ミカンが届きますね。
八百屋で買うなんて考えもしません。


我が家にも年末に父親の友だちが、とても食べきれないだろう、という量のミカンを持ってきました。
半分は親戚や近所の人に配ったのですが、どうしてもさばき切れなかったミカンが、ちょうどミカン
箱一杯分ほど残りました。


そこで父親はミカンを保存するために、プラスチック製のミカン箱にミカンを敷き詰め、その上に
新聞紙を数枚置き、さらにミカンを敷き詰め‥‥という作業を繰り返しました。
断面図を描くとこんな感じです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(←新聞紙)
○○○○○○○○○○○(←ミカン)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(←新聞紙)
○○○○○○○○○○○(←ミカン)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(←新聞紙)


これを6層ぐらい作って、しばらくは大丈夫だろうということになりました。
私は、てっきりこの保存方法は昔から伝わる合理的なものだとばかり思っていたのですが、実は父親が
考えたものだったのです。


正月が過ぎ、そういえば最近ミカンを食べてないな、と思い、例のミカン箱の新聞紙をめくりました。
一番上の層のミカンはほとんど無事だったので、なるほど安心だ、といくつかミカンを取ってから再び
新聞で覆いました。


数日前のこと、両親に最近ミカンを食べているか、と訊くと、あまり食べてないと言います。
それなら頑張って食べなければ、と新聞紙をめくりました。
さすがに上層のものも、一個だけ真っ青になってカビにやられたものがありました。
ミカンも、一人を犠牲にして残りが生き残ろうという作戦です。やるな、ミカンめ。


片頬に笑みを浮かべながらカビでやられたミカンを取り除いたときです。
どうもその下の層から水分が染み出ているように見えます。
一番上の層の下の敷いた新聞紙が湿っているのです。


何となく気になって、一番上の層のミカンをどけて新聞紙をめくってみると、何ということでしょう。
半分近くのミカンから水分が染み出しており、ぐじゅぐじゅになっています。
触ると、溶けたようにぶちゅりと潰れます。えらいこっちゃ。


この時点で、さらに下の層は大変なことになっていることが予想されました。
なので、ゴミ袋を持ってきて、とりあえずダメになったミカンをどんどん放り込んでいきます。
さらに新聞紙をめくると、ほぼ全部がダメージを受けておりました。
新聞紙ごと持ち上げようとすると、全体が崩れます。もはやミカンの原型を留めないものもあります。


小さく悲鳴をあげながらミカンを始末して、ひょいとプラスチックのミカン箱を上げてみると、底には
べっとりとミカン汁が流出しているではありませんか。ひいいいぃぃぃ! 
雑巾で拭いてもなかなか処理できないほどの広がりでした。
なぜ今まで気がつかなかったのか、不思議なほどです。


その後、風呂場でミカン箱を洗い、腐ったミカンは翌日の燃えるゴミの日に出しました。
無事だった残りのミカンを、いま必死で食べているところです。


田舎の人は、メンツもあるのでしょうか、適量をはるかに超えた量で好意を示しますが、できれば少し
だけ想像力を働かせてほしいものです。


本文と写真はまったく関係ありません

从釻-釻)<リアルにこんな顔になりました