笑う大天使

映画「笑う大天使」を見てきた。
東名阪では7月中旬に公開されているが、松山では9月下旬公開だったのです。
以降は、私個人の偏見に基づく単なる感想文にすぎないので、畳んでおく。




最初に結論を言うと、クソつまらない映画だった。
こんなもんに金を払ったかと思うと、悔しくてしかたがない。


本当は、ブログでひどいことなんか言いたくないのだ。
駄作は無視することが一番だと思う。
しかし、こりゃないだろう、という作品については、力の限り罵倒させていただく。
(偶然、これを読んで不愉快になる方もいらっしゃるかと思うが、あらかじめ
お詫びしておきます)


まず脚本が悪い。
詰め込みすぎ。
原作の「笑う大天使」は、白泉社花とゆめコミックスで3巻ある。
そのうち2巻までは、導入から誘拐犯を捕まえるまでのエピソードで、連載を意識した
内容になっており、ちゃんと次回への引きがある。
一方、3巻はそれぞれの女の子を中心にした読み切り作品をまとめたものになっている。


で、映画は基本的に2巻までの話を中心に作っているが、3巻のエピソードも無理やり
入れている。これが痛い。
例えば、更科柚子の玄関に大きな熊のぬいぐるみが置いてあるシーンがあったが、
原作を知らない人には意味不明だろう。
そんなことをするぐらいなら、もっと説明すべき部分があったはずだ。


・司城史緒が更科柚子よりも頭がいいことを示すエピソードとか
・斉木和音の両親の不和とか
沈丁花娘の髪の毛が木の枝にからまるシーンとか


また、恐らく、ハウステンボスでロケをするためだろうが、聖ミカエル学園が湖に浮かぶ
島の中にあるという設定になっている。
これは致命的だった。


というのも、原作ではダミアンが犯人のクルマからこぼれ落ちるムギチョコを拾って
追いかける重要なシーンがあるのだが、映画では主人公たちが直接学校の近くに停泊
している船に向かうのである。
だから、主人公たちは劇中で意味もなくムギチョコを食べるだけだ。
これも原作を読んでいない人にとっては、意味が分からないだろう。
(そもそもダミアンが生徒に恐れられている犬、という設定も無視されているし)


さらに最悪なのが、まったく必要のないアクションシーンである。
主人公たちは不思議な煙によって怪力になったのは間違いない。
しかし、どうやって格闘技を身につけたのだろうか? 
ラスト巨大化するし、もうわけがわからない。大天使ガブリエルの力を借りたんですか、
よかったですね。


キャスティングもひどかった。
全くダメだったのがロレンス先生と誘拐犯のシスターである。
ロレンス先生は、原作は古文の教師で、日本人より日本語が流暢に話せるという設定ですよ。
なんですか、あの使えない外国人は? せめてセイン・カミュぐらい使えっつーの。


それと、原作ではユダというイタリア人の男だったのに、映画では赤毛で片目が義眼の
シスターに変更されていた誘拐犯ね。
なんで? 冒頭の空想シーンに合わせたかっただけ? 
フローラン・ダバディにしとけばイメージとピッタリだったのに。


あーそうそう、伊勢谷友介くん、あなたは少女マンガが原作の映画には出なくていいよ。
イケメンかもしんないけど、軽さがないからね。少女マンガの世界は無理。本当、無理。


とってつけたように褒めるけど、上野樹里はよかった。
兵庫県出身なので、モノローグの関西弁もバッチリだったし。なぜ関西弁でなければならない
のかは分からなかったけど。


衣装もいかんね。
お嬢様学校の生徒が、あんな肩口が出てる制服を着るはずがないじゃないか。
修道服をイメージしたんだろうけど、オールドファッションのセーラー服の方がよかった
んじゃないの? 
あと、体操服が少林寺拳法の胴着みたいだったのもいかがなものかと。


CGも最悪でした。
たぶん、少女マンガっぽい世界を画面で再現すべく、わざと浮いた感じの、お伽噺っぽい
雰囲気にしたかったんだろうと思うけど、単に安っぽくしか見えませんでした。残念。
やるなら映画版「嫌われ松子の一生」を参考にしたら? 
ラストの巨大化した上野樹里なんか、何年前のCG? って言えばいいのかしら。


というわけで、原作の雰囲気をまったく再現できず、かといって映画だけ見ても三流の
ものしか制作できなかった新人監督さんは、もう二度と映画に関わらないでほしいです。
興行成績の結果はもう出ているだろうから、プロデューサーが阿呆でない限り、この監督に
次回作のオファーが来ることはないだろうけど。


どうも邦画は、テレビ局が作るマーケティング臭のする大作と、脚本やキャスティングが
まったく分かってない小品に二極分化してるみたいだ。
アニメはどうなんだろう? 


本文と写真はまったく関係ありません

左から、
从o゚ー゚从<斉木和音
ル ’ー’リ<更科柚子
川*^∇^)||<司城史緒