Boaz2013-05-15

夜中にBSプレミアムでやっていた、旧ソ連の映画「戦争と平和」を
なんとなく見ていた。長大な小説を全4部で製作しており、今日見た
のは第三部の「1812年」だった。

戦争と平和 【普及版】[DVD]

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原作ははるか昔に1度だけ通読したが、ほぼ忘れている。
クトゥーゾフ将軍が登場してからが面白かったような気がする。


Wikipedia によると

当時のソ連政府の全面的な協力の下、戦闘シーンで使われた馬は1,500頭、
エキストラとスタントは合計12万人に及び、また300人以上の俳優が起用
されている。


特に、1812年のボロジノの戦いを再現したシーンは、実際に戦闘が行なわ
れた場所を用いて撮影されており、撮影に2年、撮影後の編集作業等に1年を
要している。


なお、戦闘シーンの撮影では映画史上初めて遠隔操作カメラが用いられ、
300mの長さのワイヤに添って動くカメラで上空から撮影された。

とある。


たしかに、もう二度とこんな撮影はできまい、というほどの人が右往左往
しており、火薬の量もすごかった。


が、「プライベート・ライアン」を見てしまった現在、45年前の映画は
どうしても劣ったものに思える。
CGの発達というよりも、演出の問題のような気がする。


つまり「戦争と平和」の方は、全体がとっ散らかった印象があり、ある
意味、詩的な感じである。
一方、「プライベート・ライアン」は、ノルマンディー上陸作戦の部隊と
一体化しており、まさに戦場のまっただ中にいるような作りになっている。


もちろん、ナポレオンのロシア遠征と第二次大戦とでは使用する武器も
作戦も全く違うのだが、「戦争と平和」は臨場感が足りないように思う。
演劇を観客席から見ているような感じだ。
莫大な予算をかけたわりには、ちょっと残念な映像になっている。



ところで、現在のロシア映画はどうなっているんだろう? 
地方なので、米国以外の外国映画を見るチャンスはほとんどないのだが、
ミニシアター系で上映されているのだろうか。
そのミニシアターもほとんどなくなっているらしいが。


いまのロシアには、もう一度「戦争と平和」を製作するようなお金は
ないのかもしれない。
国の威信をかけた映画は、旧ソ連だからできたのだろう。