- 作者: 町田健
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/02/16
- メディア: 新書
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生成文法には前から興味があって、手ごろな入門書がないものかと探していた
のだが、ぴったりなのがあると思って読んでみた。
‥‥途中でさっぱりついていけなくなりました。バカな私。
というのも、一通りチョムスキーの提案したことを説明してくれればいいのだが、
著者の批判がちょいちょい入っており、最後は全否定っぽいニュアンスで締めくく
られているのですよ。
これでは読者は混乱するばかりだ。
そもそも生成文法って、あらゆる言語のしくみを明らかにしてるはずなのに、
英語のしくみに拘泥しているように思えた。
それは、この本が読者に分かりやすいように英語の文例を使って説明している
からだと思うが、もし日本語や中国語でも同様に普遍文法で説明できるのか、
私は疑問に思う。
ただ、私は学習塾で中学生に英語を教えていたことがあり、そのときどうしても
文法の説明をしなければならず、どうしてこのようになるのか、ということを
考える必要があった。
例えばですな、中学生の英語は、まず平叙文を習わせる。
【例1】
I want a girl friend. (私はカノジョがほしい。)
ここで、主語+動詞+目的語という構造を理解させる。
I + want + a girl friend というカタマリに分けるのだよ、と。
そんで、a gril friend だったら「一人だけ欲しい」って意味になるけど、
girl friends だったら「二人以上欲しい」ってことになるぞ、なんて言って
ちょっと笑いをとろうとします(←とれないけど)。
それが済んだら、次に疑問文を学習するね。
【例2】
Do you want a girl friend ? (あなたはカノジョが欲しいですか?)
さあ、ここで Do って何? という話になる。
普通、いいから覚えなさい、と指導する。こういうふうになってんだから、
つべこべ言わない。疑問文は Do なの。
(後で三人称単数のときは Does になって、生徒は混乱するのだが)
ここを乗り越えると、疑問詞が登場する。
【例3】
What do you want ? (あなたは何が欲しいのですか?)
出来の悪い子はここでつまずく。「What =何」という意味を暗記しても、
英作文させると書けない。
で、平叙文にもどって説明をする。今度は記号を使ってみる。
You want リd*^ー^).(あなたはリd*^ー^)が欲しい。)
↓
Do you want リd*^ー^) ? (あなたはリd*^ー^)が欲しいですか?)
↓
リd*^ー^) do you want ?
ここで、目的語にあたるものを文頭にもってくる。
do you want ? の部分にまったく変化はないことを確認。
で、
リd*^ー^)が何か分からないときには、What という言葉に置き換える
ことができる、と説明する。
リd*^ー^) do you want ? に『リd*^ー^)=What 』を代入
↓
What do you want ?
でも、こんな変な説明できちんと理解した子はいなかったような気がする。
実はチョムスキーがこれと同じような説明を、深層構造と表層構造という
方法でやっていたので、驚いたけど。
それにしても、言語学というのは文系の学問だと思うのだが、脳科学の
知見も取り入れるべきなんじゃないかなぁ、とは思った。
だって、生成文法では、脳の中に普遍文法がビルトインされてるって
ことでしょ?
それは、脳の器質的な研究によって分かることなのではないかと思うの
だが‥‥。
蛇足だが、この本の75ページに「『モーニング娘。』が集まった」という
例が出ている。
町田先生、ひょっとして娘。ファンですか?