白州とさんま

テレビで明石家さんま白州次郎にゆかりのある人々に会って話を聞く、という番組があった。
これはどういう意図があったのか、実に不思議だった。


私は白州次郎という人について、ほとんど知らないし本も読んでいない。
ただ、10年ぐらい前から彼の生き方や人生訓のようなものを書いた本が売れているのは知って
いた。妻の白州正子の本も同様である。


私が白州次郎でイメージするのは、マンガ「巨人の星」の花形満である。
金持ちのボンボンが、たまたま終戦工作に関与し、その後は実業界で生きていた、というだけの
話だと思う。


恐らく、戦後GHQの高官に対してズバズバとモノが言えたことに爽快感を覚える人が多いの
だろう。それは我々が米国に対して抱いている劣等感の裏返しではないか。
「こういう、すごい日本人がいたんだぞ」ということを、誰かに伝えたいために、メディアが
白州次郎を宣伝しているような気がしてならない。


だが、それは他人の褌で相撲を取る、ということではないか? 
私は、白州次郎その人に対して悪い印象はない(特に尊敬もしないけど)。
ただ、白州次郎で商売をする人はどうかと思う。
それこそ、本人が一番嫌ったことではないか。


で、明石家さんまである。
なんでこの企画に乗ったのか? 
ちょっとインテリっぽいところを出していこうと思ったとしたら、計算違いのような気がする。
そもそも、彼はインタビュアーにはなれない。
芸人や素人を、テレビ番組でいじるのとはわけが違うのである。


というのも、明石家さんまは、自分が喋ることが一番面白いと思っており、実際、他人をいじっても
最終的には自分の笑いにしている。
芸人としては最高の技術を持っていると思うが、それはバラエティ番組の枠内での話である。


今回の番組で、明石家さんまが、宮澤喜一元首相にインタビューする場面があったのだが、もう
取りつくしまもないという感じで、何も引き出せていなかった。
明らかに、明石家さんまは小バカにされていた。


他に、元帝国ホテル社長の犬丸一郎にも話をきいていたが、こちらはサービス業のトップだった
せいか、終始にこやかであった。
かといって、深みのある話ではなかったけれど。


結局、明石家さんまは何のために出演していたのか、最後まで見ていたがさっぱり分からなかった。
この番組のターゲットと思われる団塊の世代の人たちは、これを見て、俺も白州次郎のような
生き方を、と思うのだろうか。うーむ。


本文と写真はまったく関係ありません

( ^▽^)<えりっ! しっかりインタビューするのよ!
リd*^ー^)<ええと、ええと、あの、好きな血液型はなんですか?