「新どっちの料理ショー」の迷走

美味しんぼ」で軽く批判されていた「どっちの料理ショー」だが、私はけっこう好きで
00年ぐらいからずっと見ていた。


この番組のコンセプトは、最高の素材を調理して、どちらかの料理を選び、負けた人は
食べられない、というシンプルなものだった。


毎回「本日の特選素材」というのが登場し、かなりヤラセっぽい編集だったが、滅多に
手に入らない最高の食材を紹介していた。
ついでに、日本の地理や農業・漁業・酪農の勉強にもなった。


この食材を、主に辻調理師学校の講師が料理して、いかにおいしそうに見せるかを
競い、最終的にゲストが食べたい方の札を上げるボタンを押す。
番組の収録時間が長いせいか、終盤になると本気で腹が減っているみたいで、ジャッジ
にも鬼気迫るものがあった。


ところが、対決するメニューが底をついたのか、だんだん奇妙なもので勝負するように
なり、おそらく視聴率も低下したのだろう、05年4月にリニューアルされた。
ここから迷走が始まる。


まず、素人をジャッジに参加させたが、半年で止めている。
そして、食材の対決ではなく、カロリーやコストの対決が加えられた。
ダイエットメニューや、500円丼の企画がそうだ。


だが、本当に旨いものを食べたければ、カロリーやコストなんか気にしてちゃいかん
だろう。なんで、そんなみみっちい料理を作るのか、さっぱり分からん。


また、有名店の店長が対決したり、芸能人の料理自慢が対決する企画もどうかと思う。
単なる売名行為ではないか。


とどめは、今日やった昭和30年代のレトロメニュー対決である。
そりゃ、年配の人は懐かしいかもしれないが、わざわざ再現するほどの味でもなかろう。
しかも、食材ではなく、ステンレス容器や三色雷文丼を探しに行くという倒錯は、もはや
『料理ショー』ではない。


ラーメンやカレーは、いまの人が研究に研究を重ねて作ったものの方が、絶対に旨いに
決まっている。
もうネタ切れなら、番組自体を撤収させる潔さが欲しい。


こんな回に出演した、モーニング娘。高橋愛さんと新垣里沙さんに申し訳ないよ。
もっと旨いカレーを食べさせてあげたかった。