わが子に教える作文教室

わが子に教える作文教室 (講談社現代新書)

わが子に教える作文教室 (講談社現代新書)

清水義範といえば、パスティーシュ作品の第一人者であるが、こういう教育的な本も
ぽつぽつと書いている。
帯に「作文の星一徹たれ!」とあるが、別にスパルタ式の教育が書かれているわけでは
ない。


もともとは、清水義範の弟が名古屋でやっている学習塾で作文教室を開いたことが
きっかけだ。
そこの生徒たちの作文を、東京にいる清水義範にファックスで送信し、添削指導した
ノウハウをまとめたのが本書である。


子供にとって、作文は嫌なものだ。私もそうだった。
オトナの顔色を窺いながら、何か褒められるようなことを書かねばならない、と思って
いると、どうしても楽しくないのだ。


だから、作文は好きなことを思うように書いたらよろしい、ということからスタート
させなければならない。
自分の言いたい事を伝達する手段を伸ばすのであって、道徳を強要してはいけない、と
いう主張は、実に正しい。


さらに、文学的な文章が得意な子もいれば、感情を排した文章が得意な子もいるので、
感動や心の動きが書かれていることだけを評価してはいけない、というのも重要だ。
飼っているメダカを非常に緻密に観察した子供の作文が載っていて、なるほど、理系の
頭脳を持った子は、こういう文章になるのだなぁ、と思った。


もうひとつ、女子はパロディをあまり書かない、という指摘には意表を突かれた。
例えば、桃太郎が犬サルキジにカツアゲされるとか、そういう話を、女子はまず書かない
ということだ。
大人が書く小説やマンガでも、そうなのだろうか? 
高橋留美子なんかは、パロディが好きだと思うが、例外なのかな。


いまやたいていの人が、ブログに文章をアップできるようになったが、作文が好きですか、
と問われると、多くの人が、そうでもない、と答えるのではないだろうか。
いろんな人のブログを読むと、やはり文章力の差というものが分かって、つくづく難しい
ものだと思う。
私も、なんとか面白いものを書きたいと願いつつ、この体たらくだ。


ただ、学校の先生に出す作文は嫌いだけど、自分のブログに何か書くのは好き、という
子供たちがたくさんいるだろうから、全体としては文章力の底上げになっているのかも
しれない。
2ch用語に汚染されるかもしれないけど。


本文と写真はまったく関係ありません

(ブラジル イグアスの滝