ふしぎなキリスト教

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

一神教の神様というのは、人間にとって何を考えているのか分からない
ものである。


善人にいいことがあり、悪人がひどい目に遭う、という法則があるわけ
でもなく、常に「なぜですか、神様?」と問いかけなければならないこ
とばかり起こる(この問いかけを『祈り』と呼ぶ)。


こういうやっかいな神様を発明したのがユダヤ人で、キリスト教を理解
しようと思ったら、まずユダヤ教を知らなければならない。
なので、この本では三分の一をユダヤ教の説明に当てている。


ただ、ここを読んでも、どうも私はよく分からないところがある。
一神教の神様は全知全能である。この世界は神様が創った。
にもかかわらず、この世界は不完全である。
なぜか? 


旧約聖書の創世記では、楽園に住んでいたアダムとイブが禁断の実を食
べたせいだとされている。
ではなぜ神様は楽園に禁断の実を創ったのか? そんなものがなければ、
人間はいつまでも楽園にいられたのではないか。
(そそのかすヘビも最初から創らなければいいのに)


このような疑問が本書の p79〜80 あたりに書かれているが、スッキリ
した答はない。


それでも、ユダヤ教の説明を飲みこんだら、次の章のキリスト教の話
はよく分かるようになる。
新約聖書を通読しておくと、より理解しやすくなるだろう。


現在、キリスト教世界は経済的に傾きつつある。
原理的にキリスト教がもたらした近代というものが破綻しつつあるの
かもしれない。


その近代をすっとばして先進国に追いついてきたのが中国である。
次に橋爪大三郎に説明してほしいのは、中国についてだな。