日本経済新聞に「私の履歴書」という連載がある。
一ヶ月にわたって自分の生涯を振り返るという、功成り名をとげる人にしか依頼されない、
名誉な企画だ(と思う)。
たぶん、財界人にとっては、垂涎の的になっているのではあるまいか?
先月は北杜夫だった。それを一昨日ぐらいに知って、うちは日経をとってないので図書館に
行って読んできた。
私にとって、北杜夫という人は、10代に出会っておいてよかったなぁ、という作家だ。
「どくとるマンボウ航海記」と「どくとるマンボウ青春記」は、いまの10代にとっては
あんまり面白くないかもしれないが、独特の柔らかい笑いがあった。
たぶん、それは彼の育ちのよさから来ているのかもしれない。

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また、代表作である「楡家の人びと」や「輝ける碧き空の下で」は20代で読んだのだが、
長編小説にどっぷりとハマるという経験をしたのも、初めてだった。
特に「輝ける碧き空の下で」は、ブラジルで読んだので、感慨もひとしおだった。
その文庫本は、日系ブラジル人の方にあげてしまったから、手元にはない。
今は絶版なのかな?

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その後、阿川弘之や遠藤周作が出てくるエッセイをいくつか読んでしまったら、とんと
ご無沙汰になってしまった。
「私の履歴書」によると、平成に入ってからは、父親の斉藤茂吉の伝記を執筆されていた
ようで、晩年の仕事の集大成のようである。
これは、いずれ読んでみたいものであるが、いつになることやら。
実は15年前に、とあるパーティでスピーチをされているのを、遠くから拝見していた
ことがあったのだが、声は振るえていて、正直なにをおっしゃっているやら分からな
かった。
しかし、「私の履歴書」を読むと、まだお元気そうであるので安心した。
世の中では、北杜夫という作家がどのように評価されているのか分からないのだが、
私は進学校の高校生たちに読んでもらいたいなぁ、と思う。