ロボコン

高専の生徒たちが、規定された競技のために毎年ロボットを作ってトーナメント方式で
戦うのがロボット・コンテスト即ちロボコンである。
<工学系の若者=ダサい>というイメージを変えようとした意欲作だが、大ヒットには
至らなかった。


どうしてかというと、矢口史靖をやろうとして失敗しているからである(‥‥というのは
言いすぎか)。矢口史靖というのは「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」の監督
キャスティングも脚本もいいのだが、肝心のロボコンの場面が盛り上がらない。
理由は会場のアナウンスをかぶせることで、全部を説明しようとしているから。
NHKが一枚噛んでいるから仕方がないのかもしれんが。


それから音楽が最悪だった。せっかくの演技も台無しである。
こういうセンスが、けっこう大事だったりするのだ。
映画製作者は、イケてる音楽も知っておかないとね。


しかし、何より長澤まさみが主役である。
セカチューでブレイクする前の作品だが、すでに輝いているのが分かる。
長澤まさみのどこが魅力的なのか? 
私は、彼女の声だと思う。ちょっと鼻にかかった甘えたような感じなので、柔らかい印象を
与えるのだね。いわば、声の上目遣いというか。
二十歳ぐらいまでは清純派の役をやってほしいものです。


それから、実際に登場するロボットは、すべて高専の生徒が製作したものだ。
これは文句なく素晴らしい。日本の技術は、まだまだ彼らが支えてくれるだろうという
希望があった。


もうひとつ、荒川良々という俳優は貴重だということも付け加えておきたい。
日本映画の全盛期には、こういう脇役が何人もいたはずだ。
絶対に主役にはなれないけれど、強烈な印象を残せる役者が、これからどんどん出てくれる
といいなぁ。