海街ダイアリー

映画の日なので見てきた。
原作ファンで、勝手にキャスティングを妄想していたぐらいなので、映画館で
見ることができてよかった。


是枝監督だから出演したであろう、芸達者たちが集まっているから、悪かろう
はずはないのだが、もう一つ食い足りない。


マンガだと、シリアスな場面はシュッとした線の顔、笑いの場面はデフォルメ
した柔らかい線の顔に描き分けられるのだが、実写だとそうはいかない。
映画版では、その笑いの部分がうまく表現できていなかったのかな、と。



女優でいうと、綾瀬はるかはさすがの演技で言うことなしだった。
広瀬すずもフレッシュでよかった。芸名はこの映画からとっているのだろうか。


一方で、長澤まさみの衰えには驚いた。
映画ではお色気担当みたいな感じで、肢体を惜しげもなく見せているのだが、
残念ながらみずみずしさがない。


ただ、私が長澤まさみを映画館でちゃんと見たのは「タッチ」以来かもしれない
から、もう10年前である。
いま28歳の人に18歳のピチピチ感を求めるのは酷な話だが、それを言うならば
綾瀬はるかの透明感は何なのだ、ということになる。



あと、鎌倉を舞台にした姉妹ものというと、小津作品を意識しないわけには
いかないと思うが、是枝監督は変な野心も持たず、淡々と撮影しているような
気がする。


でも、カンヌが期待したのは、小津映画のような作品だったのではなかろうか。
リリー・フランキー笠智衆のような枯れた味わいがあればよかったのだが、
というのはイチャモンである。


葬式に始まり葬式で終わる映像で、鎌倉の海岸を喪服の美人姉妹が歩くという
画は、離れて見るとフェリーニの「甘い生活」のラストみたいで、シュールな
感じがした。


興行成績では同時期に封切られた「ラブライブ」に抑えられてしまったが、
レンタルでリリースされたら大人気になるだろう。