*[本]やはり俺の青春ラブコメはまちがっている 第14巻

分厚い最終巻をようやく読み終えた。
渡航朝井リョウの下位互換である、という私の印象は最後まで
変わらなかった。


あとがきを読むと第1巻は東日本大震災のときに出ている。
それから9年弱の時間を経て、当時高校生だった読者も、もう20代
後半だ。


作者本人も同じように歳をとっているわけで、最初の方の文化祭や
修学旅行の話あたりまでは、まだ濃密に高校生活のテイストがあった
けれど、クリスマス会やらプロムとかの学外行事になると、もはや
高校のイベントではなくなっていったように思う。


実際、主人公もそれらの準備を「仕事」と呼んでおり、作者のマインドが
高校生活から遠く離れてしまったことを物語っている。
逆説的にそのことが青春の儚さを浮き彫りにしているのではなかろうか。


12から14巻までで、ライトノベル的な面白さはほとんど失われていた。
それだけ内面の描写に力を入れたのだろうが、やはり力不足は否めない。
最終巻にサウナについて語る部分があって、ここだけは生き生きして
よかった。渡航の良さはこういうところにあるのだが、シリアスに
物語をまとめようとして削ぎ落とされてしまったのが残念だ。


ともあれ、これだけの巻数をかけてようやく雪ノ下さんがデレるという
のを見れただけでも良かった。
アニメ化でどう表現されるのか楽しみである。