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夕方、クルマを出そうと表に出たら、近所の小学5年生の男の子たちが手招きを
する。
行ってみると、虫カゴの中にオスとメスのカブトムシがいて、交尾の真っ最中だった。

「ねえ、これなにやっとるん？」
二人の男の子がキラキラした汚れのない目で私を見る。

私もカブトムシの交尾を見るのは初めてだ。
本当にギシギシという音が出るものだなぁ、とじーっと見ていた。

しかし、交尾というのをどう説明すればいいのか。
話の内容によっては事案が発生するのではないか。
親に、あそこのオッサンにこんなことを聞いた、などと話されても困る。

「そのうち、メスがタマゴを産むんじゃないかな」
とだけ言って、私は忙しそうなふりをしてクルマに入った。

たぶん奴らも薄々は感じているはずだ。
もっと詳しいことは学校の先生に訊いてくれ！　と心の中で叫びながら
私はエンジンをかけた。

まさかリアルで「下ネタという概念が存在しない退屈な世界」みたいな話を体験
するとは思いもしなかったです。