うちの近所の寿司屋が今月末で店をたたむらしい。
10年ぐらい前に板前が急死して、その弟だか甥だかが店を継いだと
聞いている。
フード系のコンサルティング会社がアドバイスしたらしく、店の
名前も変えて、看板もオシャレなものにした。
出だしはうまくいっていたみたいだが、だんだん左前になってきた
ようで、ランチサービスとかを始めたが、あまり客足は伸びなかった
ようだ。
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と、いかにも知ったような感じで書いているが、私はその店に一度も
行ったことがない。なにしろ魚介類が嫌いなのだから、しょうがない。
いや、もし私が魚介類を好きだったとしても、うちは一家でカウンターの
ある寿司屋に行くような家庭ではなかった。
寿司屋から出前をとったことも一度もない。
貧乏といえば貧乏なのだが、松山の一般的な家庭では、行きつけの
寿司屋があるのが当たり前だったとは思えない。
ちょっとしたハレの日にみんなで出かける、というパターンだった
と思う。
東京だと、わりと馴染みの寿司屋があったりする人が多くて驚いた。
商店街などの結びつきが強かったからだろうか。
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私が思うに、街中のカウンターのある寿司屋は、主に中間層が行っていた
はずだ。それも、ハレの日にときどき行くぐらいで、たまに出前をとる
ぐらいだったのだろう。
富裕層は、高級な寿司屋に行くか、自宅に呼んで握ってもらっていただろう。
低所得者層は、スーパーの寿司を買うぐらいだったのではないか。
そこに回転寿司が登場して、低所得者層は一気になだれこんだ。
そして、中間層もだんだん回転寿司に行くようになった。
そうすると、街中の寿司屋はお客がだんだんいなくなっていく。
高級店に鞍替えするのも難しそうだ。
もしかしたら、全国的に街中の寿司屋はなくなっていっているのかも
しれない。そんな統計があったら見てみたいが。
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こういうところにも、グローバル化による中間層の破壊の影響が出て
いると思うと、何ともやりきれない。
別に回転寿司が悪いわけではなく、多様性がなくなっていくのが怖い
のである。