Boaz2014-10-24

うちの近所の寿司屋が今月末で店をたたむらしい。
10年ぐらい前に板前が急死して、その弟だか甥だかが店を継いだと
聞いている。


フード系のコンサルティング会社がアドバイスしたらしく、店の
名前も変えて、看板もオシャレなものにした。


出だしはうまくいっていたみたいだが、だんだん左前になってきた
ようで、ランチサービスとかを始めたが、あまり客足は伸びなかった
ようだ。



と、いかにも知ったような感じで書いているが、私はその店に一度も
行ったことがない。なにしろ魚介類が嫌いなのだから、しょうがない。


いや、もし私が魚介類を好きだったとしても、うちは一家でカウンターの
ある寿司屋に行くような家庭ではなかった。
寿司屋から出前をとったことも一度もない。


貧乏といえば貧乏なのだが、松山の一般的な家庭では、行きつけの
寿司屋があるのが当たり前だったとは思えない。
ちょっとしたハレの日にみんなで出かける、というパターンだった
と思う。


東京だと、わりと馴染みの寿司屋があったりする人が多くて驚いた。
商店街などの結びつきが強かったからだろうか。



私が思うに、街中のカウンターのある寿司屋は、主に中間層が行っていた
はずだ。それも、ハレの日にときどき行くぐらいで、たまに出前をとる
ぐらいだったのだろう。


富裕層は、高級な寿司屋に行くか、自宅に呼んで握ってもらっていただろう。
低所得者層は、スーパーの寿司を買うぐらいだったのではないか。


そこに回転寿司が登場して、低所得者層は一気になだれこんだ。
そして、中間層もだんだん回転寿司に行くようになった。


そうすると、街中の寿司屋はお客がだんだんいなくなっていく。
高級店に鞍替えするのも難しそうだ。
もしかしたら、全国的に街中の寿司屋はなくなっていっているのかも
しれない。そんな統計があったら見てみたいが。



こういうところにも、グローバル化による中間層の破壊の影響が出て
いると思うと、何ともやりきれない。


別に回転寿司が悪いわけではなく、多様性がなくなっていくのが怖い
のである。