サマータイムマシン・ブルース

松山映画祭で上映していたので見た。
以前、テレビで劇団「ヨーロッパ企画」の舞台のやつを見ていたので、だいたいの流れは知っていた
から、どうやってそれを映像にするかが楽しみだった。


で、結論からいうと失敗してた。
ネガティブなことを言って申し訳ないが、これは「ヨーロッパ企画」の舞台の方が上だな。


映画版は、もう一度見ることを前提に作っているので、最初の10分ぐらいは意味不明の映像が続く。
これが著しく見る人の興味を失わせるのだ。
たぶん、DVDで見たら簡単に最初のシーンまで戻れるからストレスはないのだろうが、映画館で見る
ときはかなりフラストレーションがたまる。


それと、「うる星やつらビューティフルドリーマー」へのオマージュ(?)のつもりだろうけど、
・製作会社の名前が出るときに、船の汽笛のSEを入れている
・友引高校っぽい校舎
・虎縞ビキニのマネキンがある
・メガネ・角刈り・チビを連想させるキャラクターたち
・タイトルをエンディングに出す
などは、ちょっと鼻に付いた。


映画化した人は、「ビューティフルドリーマー」と「サマータイムマシン・ブルース」を同一種類の、
時間を扱った作品と考えていたようだ。
しかし、「ビューティフルドリーマー」の方は、繰り返される時間に閉じ込められた人間が脱出する
話であり、「サマータイムマシン・ブルース」の方は、同じ人やモノが同一空間に二つ存在する矛盾
を解消する話で、全く違う。


敢えて言うならば、元ネタは初期の「ドラえもん」で、のび太の宿題をやるために複数のドラえもん
がタイムマシンでやってきて、最後は殴りあいになる話である。
脚本を書いた人も「定点観測型のタイムトラベルもの」をやりたかったと語っているし、舞台に出て
くるタイムマシンもドラえもんの道具そのままで、笑いをとっていた。


ところが、映画では版権の都合なのだろう、ドラえもんに出てくるタイムマシンにするわけにはいか
ず、いかにもインチキ臭いタイムマシンを登場させている(ただし、このデザインは素晴らしかった)。
この、ドラえもん的要素が薄れてしまったのが、私にとっては喰い足りなかった。


いいところは、上野樹里真木よう子が出ていたところだろうか。
特に、瑛太上野樹里が恋愛モードになるあたりは、映画版にハッキリと軍配が上がる。
真木よう子のメガネもよかったし。


舞台と映画を見て思ったのだが、映画でいうと瑛太の役と川岡大次郎の役ってかぶってないだろうか? 
ていうか、川岡大次郎の役は必要だったのか疑問。
彼がいない方が、キャラクターを見分けやすかった思う。
もしかして、これも「ビューティフルドリーマー」における、角刈りと温泉マークのキャラのかぶり
具合のパロディなのかなぁ。


多くの観客を呼び込むには、ロマンティックな要素が足りなかったけど、もともとマジにならない日常
を描いている脚本なのでしょうがない。
ほとんどの場面が、ノリと笑いで流されていくのを見ると、いまの若者も辛いのう、と余計な心配をし
てしまった。


本文と写真はまったく関係ありません

サマータイムマシン・ベリーズ