ボブの寿司

こないだ映画館で「スシ王子」の予告編を見たとき、そういや昔、友だちと黒人の寿司職人が
主人公のマンガの企画を考えたっけ、と思い出した。


プロットはこうだ。
ニューオーリンズに生まれた黒人の少年ボブは、倒れていた小柄な東洋人を助ける。
一晩泊めてくれたお礼に、その東洋人は見たこともない食べ物を作ってくれた。握り寿司だった。
ボブは衝撃を受け、この料理を作りたいと思うが、東洋人はすでにいなくなっていた。


数年後、海軍に入ったボブは横須賀に配属になる。
そこで偶然、自分が助けた老人を発見し、弟子入りする。
海軍のしごきよりも厳しい修行に耐えたボブは、やがて一流の腕を持った寿司職人になる。


だが、師匠から衝撃的な言葉を受ける。
「ボブ、お前の寿司は一流だ。誰にも負けないだろう。だがな、日本じゃ商売はできねぇよ。
どうしてかって? 悪いがお前が黒んぼだからさ。お前がいくら努力しようと、客はお前の寿司を
食わないんだ」
ボブは自分の手のひらを見つめながら絶叫する。


運悪く師匠は病に倒れる。
看病するボブに、師匠は奇妙なことを言う。
アメリカのどこかに、寿司キングと名乗る男がいる。そいつに勝てば、全米一の腕前と認められる
らしい。自分も挑戦したが敗れてしまった。仇をとってほしい。
そう言い残して師匠は死ぬ。


ボブはアメリカに戻って、寿司キングを探す旅に出る。
ここから話は勝負ものに変わり、テキサスの早握り職人マシンガン・ジョーや、どうみても寿司で
はないものを寿司と言い張るニセ職人タイガー・キムを打ち負かす。
(この旅には、師匠の孫娘とかボブの弟子みたいな可愛い女の子もついてくる)


やがてニューヨークで寿司キングにめぐり合い、生きるか死ぬかの大勝負をする。
辛うじて勝ったボブは、故郷のニューオーリンズに戻って、江戸前の寿司屋を開き幸せに暮らす、
というエンディングだ。
(写真立てには、ボブが握った寿司を頬張る大統領が写っている)


ミステリっぽくするなら、日本にいるとき師匠が何ものかに殺され、犯人らしき男が米国にいる、
とかにしてもいいし、エロマンガにするなら美女の赤貝を探す話にしてもいい。
あるいは、舞台を米国に限定せず、欧州やロシアの寿司屋を巡ってもいいだろう。


こういうバカらしい話なら、わりと簡単に思いつくのだが、底が浅いから何の役にも立たないので
ある。「スシ王子」はどういう設定なのか知らないけど、このくらいバカみたいなストーリーだっ
たら見てみようかな。


本文と写真はまったく関係ありません

( ^▽^)<全力で食べるよ!