- 出版社/メーカー: 東宝
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去年、見逃していたのでテレビ放送はうれしい。
わりとオーソドックスな展開の映画だったが、それだけに手堅い面白さがあった。
この映画は、県庁の若手エリートが民間交流のために地元のスーパーに派遣され、役所と民間企
業の違いを学んでいく話である。
いや、そういう見かけだが、これはやる気のない組織を立ち直らせる人の物語で、本質は「メジャ
ーリーグ」や「がんばれ!ベアーズ」的なサクセスストーリーなのだ。
うらぶれたスーパーを立派な繁盛店にする話は、伊丹十三の映画「スーパーの女」ですでに語ら
れている。その意味では、この映画に新味はない。
また、織田裕二が婚約者に捨てられて、土砂降りの雨に打たれながら号泣するシーンも、ベタと
いえばベタだ。
だが、そういう分かりやすさは今の視聴者が求めているものだろうし、テレビ局が主導して制作
した映画だから、監督のエゴはできるだけ排除したのだろう。
もはや大手が作る映画は、アートではなくコンテンツのひとつになったということか。
ところで、映画を見ていていくつか疑問があるのだが、どうなっているのだろう。
・賞味期限ギリギリの食材で安売り弁当を作っているのは、保健所の監査で問題なしとされたの
だろうか?
・高級食材を使った弁当は毎回売れ残っていたが、あのコストはどうなっていたのか?
・ラスト近くの二度目の査察のとき、警備室に織田裕二がいたのはなぜか?
・消防法の条項を暗唱しなければならないピンチの場面は、そもそもフラグが立っていなかった
ように見えるのだが。
・知事が最後に心変わりをして経費削減のプランを却下した説明がない。
整った出来なので、見終わってよかったなぁと思うのだが、このあたりの詰めが甘いような気が
する。テレビ版ではカットされているシーンがあったのかもしれないが。
Wikipedia によると、この作品は香川県が舞台の可能性が高いらしい。
たしかに四国の県議会というのは、オール与党体制で、地元の既得権益と癒着しているんだろう。
県庁はそれに乗っかって、国から予算をとってきて使いきらなければならない。
それを告発しただけでも良しとしなければならないのかも。
この映画の影響力はゼロに等しいけれど。