ゲド戦記

ネタバレしてるので隠します

予告編を見たときから、あんまり期待してなかったので、それほどがっかりすることは
なかったのだが、やはりウェブ上ではバッシングされているんだろうか。
私も悪口はあんまり言いたくないんだが、自腹を払って見た感想を書いてみたい。


原作の小説も読んでないし、予告編を見た以外は何の予備知識もないので、的外れなことを
言っているかもしれない。
それでも、よく分からない内容だった。


そもそも、なんでアレンは父親の国王を殺したのか、その理由が最後まで語られなかった。
原作を読め、ということだろうか。
私が見たところ、主人公はアレンなのだが、彼がなんともいえず情けなく、旅の目的も
見えない。
ただ、自分の「影」におびえているだけで、ファンタジーならではのカタルシスはない。


また、ゲド(ハイタカ)も、大賢人といわれる魔法使いなのだが、ほとんど活躍の場はない。
テナーとの関係性も、これを見ただけでは分からない。


テルーもなぁ‥‥
いきなり唄い出したときは、どうなることかと思ったですよ。
アレンはそれを聴いて涙ぐんでるし。


そして、映画の中の各シーンは、何となくどこかで見たような感じがしてならない。
クモがテルーを抱えて塔の上に登るところは「カリオストロの城」だし、ウサギのキャラ
クター造形は「ナウシカ」のクロトワだろう、どう見ても。
クモの最後の方は、まったくもって「千と千尋」のカオナシですわな。


だから、この映画は普通の娯楽作品として見るよりも、精神分析の対象として見た方が
よろしいのではないか。
偉大すぎる父親の影響を逃れきれない息子の苦闘の記録として。


考えてみると、いままで一本もアニメ制作に参加せず、監督の経験もない人が、長編
大作を作ることが無謀だったのだ。
プロデューサーの鈴木敏夫には一度だけ会ったことがあるが、非常に胡散臭い人だった。
世が世ならペテン師になっていただろう。


ジブリの映画というのは、もはや軽い気持ちで作れる環境にはなく、この「ゲド戦記」に
しても、電通博報堂日本テレビ三菱商事アサヒ飲料といった大企業が首を突っ込んで
おり、一大産業となった感がある。
そのプレッシャーのもとで、よくここまでやったなぁ、と同情してしまう。


これで分かったことは、監督が誰であれ一定のクオリティは確保できる、ということであり、
いかに宮崎駿はスタッフを叱咤していたか、ということの証明にもなる。


ただ、声優というか俳優の人たちは頑張っていたと思う。
みんな、違和感のない声だった。特に岡田くんは上手かったと思う。


本当は「ゲド戦記」よりも、細田守監督の「時をかける少女」が見たかったのだが、松山では
上映されてねぇ。
ふざけんな。
主役の少女の名前が「紺野真琴」で、モー娘。ファンとしては見逃せなかったのですが。