私は1994年の5月にブラジルに行ったことがある。
初めての海外旅行だったので、全てのことが刺激的だった。
ブラジルという国を、その後も何となく気にかけていた。
このドラマは、そんなブラジル贔屓(?)の私が楽しみにしていた作品だ。
北杜夫の小説に「輝ける碧き空の下で」というのがある。
主にブラジル移民のことを書いた力作だが、現在は絶版のはず。
私は、この小説で移民の苦労について知ったけれど、現実はもっと過酷だったろう。
ブラジルで私は、運よく移民一世の方にお会いできたが、顔には苦労が刻み込まれており、
握手をした手は力強かった。
また、二世の方々と話をしたときに、方言がそのまま保存されているのが面白かった。
広島から移民した人は、二世にも広島弁の日本語が受け継がれている。まだメディアが
発達していなかったので、日系のコミュニティだけで日本語が使われていたからだろう。
三世になると、ほぼポルトガル語でしか話さないので、私とは日本語で会話はできな
かった。聞いたら分かるらしいが。
さて、ドラマは移民する前の事情と、ブラジルに到着してからの生活が描かれる。
と同時に、70年後の現在の姉妹の姿も語られており、その媒介物として届かなかった
手紙が重要な小道具になっている。
女性が昭和史の中で苦労していく姿をドラマにすることは、脚本の橋田壽賀子が「おしん」
で自家薬籠中にしていたものだ。
盛り上がることは約束されている。
キャスティングも申し分ない。
第一話は子供時代の話で、ドラマ「女王の教室」で注目された志田未来が妹のナツ役を
演じている。成長したら仲間由紀恵になるわけで、第二話も楽しみだ。
ひとつ気になったのは、姉妹の身長差だ。
若いときは、姉のハル(米倉涼子)の方が高いのに、晩年になると妹のナツ(野際陽子)
の方が高い。不思議な現象だw
お互い、若いときには会ってないのだから違和感なく見られるだろうけど、番組宣伝で
米倉涼子と仲間由紀恵が並んだときがあったので、ついいらぬことを書いてしまった。
できれば、もう一度ブラジルへ行って、イパネマの海岸を歩いてみたいものだ。
もちろん、ジョアン・ジルベルトを聴きながら。