被差別のグルメ

被差別のグルメ (新潮新書)

被差別のグルメ (新潮新書)

中上健次の影響なのか、同和地区のことを「路地」と書いており、そこがなんとなく
引っかかるのだが、それ以外は面白かった。


最初の方にアブラカスの話が出てくる。
私がこの食べものを知ったのは、大阪製作のテレビ番組「今ちゃんの実は」だった。
今田耕司がMCで、サバンナやシャンプーハット、千鳥やミサイルマンがレギュラーの
深夜番組である。


松山では1ヶ月遅れぐらいで放送しており、番組の人気コーナーに大阪周辺の飲食店を
紹介するものがある。
その中で、かすうどんが出てきて、最初は天カスかと思っていたが、実はアブラカス
という未知の食べものだったので、へぇ、と興味を持った。


もともとは食肉を扱う被差別部落の人たちが食べていたものが、一般的な地域にも
普及している驚くべき現象だそうで、後半に語られる在日朝鮮人被差別部落
関係が、焼き肉にどう影響しているかも面白かった。


ちなみに本書によるとホルモンの語源は大阪弁の“放るもん”ではないそうだ。
医学用語のホルモンからきているとのこと。


その他、アイヌや沖縄の料理もレポートしており、正直どれもあまりおいしそうでは
ないのだが、消えゆく文化みたいなので、一度ぐらいは食べてみたいと思った。