今日の「探偵ナイトスクープ」の2本目のネタが、なんかこう変な後味
というか、もやっとしたものが残った。
依頼は、紙幣で一杯のバスタブに入りたい、というものだった。
よく雑誌の裏表紙にあったイメージのやつだ。
ただ、ここからが違う。
依頼者は子供のころから自分でお札を作っており、一度バスタブに
入れてみたものの、半分ぐらいしか埋まらなかった、という。
自分でお札? ニセ札ということか? と身構えるかもしれないが、
デザインも自分で考えた架空の紙幣のことである。
現在は学生で、11年間に約3億円ほど作ったという。
オリジナル紙幣の額面が定かでないので、何枚ぐらいなのかはよく
分からないが、一抱えほどあった。
ものごころついたころにお札作りに目覚め、白い紙に手書きで作って
いたが、中学生のときにコピー機で複写できることが分かり、お小遣い
の大半をお札作りに投入して、親にこっぴどく叱られたという。
現在はパソコンに版下を取り込んで、プリンターで印刷して、それを
手動の裁断機でカットしている。
そうやってコツコツと作ったのが3億円ぐらいあると。
↓
ハライチの澤部が探偵で、最初は手伝っていたのだが、バスタブを
いっぱいにするには時間が足りない。
そこで町の印刷屋さんに刷ってもらうことにした。
さすがにプロの使う機械である。
版下原稿からバスタブ一杯に必要な約20億円を印刷するのに、たった1時間。
あっという間に仕上がった。
今までコツコツと作ってきたのに、それでいいのか、と思ったのだが、
本人は満足そうだったのでオッケー。
最後は依頼者の母に借りたバスローブを羽織ってバスタブに入り、お札を
投入してもらう画でフィニッシュした。
新しいお札は角が当たって痛いとのこと。
↓
ある種、病的なところもあった依頼だが、紙幣とはなんぞや、ということを
考えてしまう内容だった。
テレビに登場したオリジナル紙幣のデザインは、手書きで大量に作らなければ
ならない時代の名残か、チープでスッカスカの模様だった。
しかし、デザイナーが本気でオリジナル紙幣を作ったら、かなり面白いのでは
ないか、とも思った。
現在流通している紙幣を作るのは重罪になるが、どこにもない紙幣をデザイン
して個人で楽しむのは自由だろう。
一度、自分でお札を作ってみれば、お金に対する考え方もちょっと変わって
くるのではなかろうか、とさえ感じた。