Boaz2014-10-03

今日の「探偵ナイトスクープ」の2本目のネタが、なんかこう変な後味
というか、もやっとしたものが残った。


依頼は、紙幣で一杯のバスタブに入りたい、というものだった。
よく雑誌の裏表紙にあったイメージのやつだ。


ただ、ここからが違う。
依頼者は子供のころから自分でお札を作っており、一度バスタブに
入れてみたものの、半分ぐらいしか埋まらなかった、という。


自分でお札? ニセ札ということか? と身構えるかもしれないが、
デザインも自分で考えた架空の紙幣のことである。
現在は学生で、11年間に約3億円ほど作ったという。
オリジナル紙幣の額面が定かでないので、何枚ぐらいなのかはよく
分からないが、一抱えほどあった。


ものごころついたころにお札作りに目覚め、白い紙に手書きで作って
いたが、中学生のときにコピー機で複写できることが分かり、お小遣い
の大半をお札作りに投入して、親にこっぴどく叱られたという。


現在はパソコンに版下を取り込んで、プリンターで印刷して、それを
手動の裁断機でカットしている。
そうやってコツコツと作ったのが3億円ぐらいあると。



ハライチの澤部が探偵で、最初は手伝っていたのだが、バスタブを
いっぱいにするには時間が足りない。
そこで町の印刷屋さんに刷ってもらうことにした。


さすがにプロの使う機械である。
版下原稿からバスタブ一杯に必要な約20億円を印刷するのに、たった1時間。
あっという間に仕上がった。
今までコツコツと作ってきたのに、それでいいのか、と思ったのだが、
本人は満足そうだったのでオッケー。


最後は依頼者の母に借りたバスローブを羽織ってバスタブに入り、お札を
投入してもらう画でフィニッシュした。
新しいお札は角が当たって痛いとのこと。



ある種、病的なところもあった依頼だが、紙幣とはなんぞや、ということを
考えてしまう内容だった。


テレビに登場したオリジナル紙幣のデザインは、手書きで大量に作らなければ
ならない時代の名残か、チープでスッカスカの模様だった。


しかし、デザイナーが本気でオリジナル紙幣を作ったら、かなり面白いのでは
ないか、とも思った。
現在流通している紙幣を作るのは重罪になるが、どこにもない紙幣をデザイン
して個人で楽しむのは自由だろう。


一度、自分でお札を作ってみれば、お金に対する考え方もちょっと変わって
くるのではなかろうか、とさえ感じた。