全国学力調査の結果が発表され、愛媛県の中3生の総合順位が昨年の17位
から8位に上がった、という。
個人的には、愛媛県の教育委員会がはしゃいでいるように見えた。
それはよかったね、と思わないでもないのだが、よく考えるとこの順位は
何の順位なのだろう?
去年の中3生と今年の中3生は、厳密に言えば違う集団である。
今年はたまたま勉強が得意な生徒が多い学年だったかもしれない。
まるで愛媛県の中3生の頭が良くなったような報道だが、去年17位だった
学年の子たちは、いま高校1年である。
17位の学年に何のフォローもしていないと、ずっと17位なのではないか。
彼らの学力は、どうやったら8位になるのだろう?
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全国学力調査の結果が向上したのは、教師の指導力が上がったからだ、と
いう指摘は一面の事実だと思う。
学校の先生は、去年も今年もだいたい同じだからだ。
だがそれも、同じ集団を教える、という前提で成り立っているのではないか。
生徒が違えば教え方も変わる。うまくいくこともあれば、どうにもならない
こともある。そこが難しいし面白いところだ。
それに、教え方のノウハウが蓄積されるならば、原理的に教師の指導力は
右肩上がりになるはずであり、生徒の能力はどんどん上がらなければならない。
そうなっていないのは、教師の指導力が毎年上がるわけではないし、生徒も
均質な集団ではないからだ。
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なので、全国学力調査は無駄とは思わないけれども、順位が上がった下がったと
報道するのは、おかしいのではないか、と思う。
それこそメディア側に、応用する力が必要なのではないか。