里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
- 作者: 藻谷浩介,NHK広島取材班
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2013/09/25
- メディア: Kindle版
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もっと広く伝えようと書いたものだという。
なので、ほとんどはNHK広島のディレクター二人が書いていて、藻谷浩介は
中間総括と最終総括だけである。
NHK広島の人たちは、わりと夢見がちな話をしていて、そこを藻谷浩介が
ビシッと締めている、という印象だ。
特に最終総括の「日本経済ダメダメ論の誤り」は論理的で腑に落ちる内容
だったので、そこだけでも読んでほしい。
↓
里山資本主義とは、マネー資本主義に対するアンチテーゼである。
しかし単に、便利さを捨てて昔に戻れ、という無茶な主張をしているわけ
ではない。
便利さは便利さとして利用しつつ、オルタナティブな回路を作っておく方が、
万が一のときに安心だよ、という話である。
NHK広島の人たちは、林業を見直すことで、エネルギー問題を補助する方法を
提案しており、たしかにうまくいけば面白いな、と思う。
ただ、山奥で暮らしている人はともかく、松山のような中途半端な都市で
生活している人間には、マネー資本主義には手が届かないし、里山資本主義
にもなれない。
ちょっと裏山に行って薪を拾ってくる、という生活はできないのである。
↓
それでも、なるべく地元産の野菜や肉を買うようにはしているし、近所に
出かけるときはクルマに乗らないで自転車にする。
そういう小さい心がけでもいいのだ、と本書で言っている。
短期間で何かが変わることはないけれど、次の世代ぐらいまでには、なんとか
マネー資本主義のマッチョな体質をやんわりと退けられるような、足腰の強い
社会にしたいものである。