NHKの朝ドラ「ごちそうさん」が終わった。
序盤は文句を言っていたのだが、とうとう最終回まで全部見てしまった。
物語が面白かったからだと思うのだが、あらすじを思い出してみると、
波瀾万丈というものでもなかったように思う。
説教臭さがなかったからだろうか。
これまでの朝ドラの主人公は、正しい人が多かった。
正しいというか、例えば戦時中でも戦争を批判するような、賢しらな
タイプというか。
だが、「ごちそうさん」の主人公は基本的にはあまり頭の良くない、
大阪のおばちゃんだった。庶民として戦争に協力し、日本の戦いを
疑わなかった。ここに妙なリアリティがあったような気がする。
(一方、主人公の夫は防空演習を批判し、満州に行ってしまう)
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前回の「あまちゃん」が社会現象になっただけに、続く作品のプレッシャーは
大きかっただろう。
「あまちゃん」は、朝ドラを見る習慣のない男性を萌えさせてヒットした。
が、「ごちそうさん」に萌えの要素はない。
これは徹頭徹尾、主婦のためのドラマである。
おそらく男性の視聴者は「あまちゃん」に比べると減ったと思うが、逆に
女性の視聴者は増えたのではなかろうか。
小姑のイビリや旦那の浮気など、主婦の琴線に触れる素材があったから、
視聴率が落ちなかったのではないか。
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杏の演技が良かったのはもちろんだが、東京出身なのに違和感のない
大阪弁で話していたのがすごい。
一瞬ひっかかる部分はあったのだが、実に上手だった。
きっと語学に堪能なのだろう。
あと、主人公の義理の妹役の高畑充希がよかった。いいコメディエンヌに
なれるのではないか。歌がうまかった。
どうでもいいことだが、元モーニング娘。の新垣里沙にそっくりだなぁ、
と見るたびに思った。
意外にもTKO木本武宏もよかった。ドラマにほとんど出演したことがなかった
ようだが、これからオファーが増えるのではないか。
昭和のオッサン顔であまり目立たないが面白い人、というのはいそうでいない。
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東京編で登場した原田泰造や財前直見が、結婚式で再登場したきりで、
最終回にも出てこなかったのが残念だ。
(原田泰造は最終週に電話の声のみで出演)
小姑が家の権利をチラつかせて去っていったのも、なんだかモヤモヤする。
いつも怒鳴っている建築家が最後に蔵座敷に連れてきた男も謎だし、どうも
追加作品がありそうな気配である。
それはそれで楽しみだ。