乙女の絵画案内

推しメンのアイドルが新書を出したなら、何をおいても読まねばならぬ。
そう思って本屋に行ったら、売り切れている。
ジュンク堂でようやく最後の一冊を発見し、手に入れた。


おそらく初版本だけだと思うが、カバーが二重になっており、著者の写真が
大きく入っている。カバーの裏も写真になっており、初版本を逃したファン
は臍を噛むだろう。



内容は、和田彩花が選んだ絵画の解説と感想で、読者層は彼女と同じ年齢か
同じぐらいの美術知識を持っている人たちと想定される。
なので専門的なレベルではないが、アイドルが紹介する美術入門書として
間口が広いと言えよう。


ただ、推しメンの書いた本の悪口はあまり言いたくないのだが、どうも裏に
いる櫻井孝昌の影がチラつく。
ネットで連載していた文章では、あまり「かわいい」という言葉を使って
いなかったと思うのだが、この本に収録されたら、やたらと「かわいい」を
連発しているのである。


私は彼女のブログの文章も読んでおり、この本も基本的に自分の言葉で
語っていると思っている。
あまり安易に「かわいい」と形容しない人なので、櫻井孝昌のアドバイス
がかなり入っているのかもしれない。


そこが気になったけれども、基本的には美術とまじめに向き合う女の子、
というスタンスには好感が持てるし、カラーの図版も美しい。
和田彩花というアイドルに興味がなくても、手にとって損はないと思う。



これが売れたら、次は仏像案内だろうか。私が編集者ならそうする。
卒論を提出して大学を卒業すれば、アイドルから次のステップへ進む
ことができるだろう。


あやちょがNHK日曜美術館」のレギュラーの座を手に入れる日も遠く
ないはずだ。