今日BS11で放送された「中二病でも恋がしたい!戀」第8話を見た。
第4話とあわせて、原理主義について考えてしまった。
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いちおうアニメの設定を説明しておく。
サブキャラクターの丹生谷森夏(にぶたに しんか)は、中学生の
とき中二病を発症し、自らを「モリサマー」という1200年生きてきた
魔術師と名乗る。
そして、ネット上でマビノギオンと呼ぶ聖典をアップして、愛と平和を
説いていた。
一学年下の凸守早苗(でこもり さなえ)は、そのサイトを熟読し、
熱狂的な信者になる。
丹生谷森夏は高校に入学してから中二病を黒歴史として葬り去るが、
凸守早苗は、ネットに残っていたマビノギオンを印刷し、大切に保存
している。
そして、中二病を全否定する丹生谷森夏は、凸守早苗から「偽サマー」と
呼ばれ、リア充方向へ進むことを邪魔されるのだった。
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第4話では、丹生谷森夏が本当の「モリサマー」であると受け入れ、
従順な信徒となる凸守早苗が描かれる。そして一緒に生徒会長選の
選挙活動をするが、立会演説会で凸守に自分の過去を暴露された
丹生谷は落選してしまう。
このとき凸守は、マビノギオンを否定する丹生谷を、再び偽物だと
判断する。
宗教をつくった本人でも、自ら棄教したら赦されないのである。
第8話では、凸守早苗のストーカー(女子高生?)が「モリサマー」を
名乗り接近する。
ストーカーもまたマビノギオンを熟読し、勝手にサイトを作っていた。
凸守はそれを見てまんまと引っかかってしまったのである。
丹生谷はストーカーと対決するものの、自分が本当のモリサマーである
ことを証明できない。
最終的には、ストーカーが凸守を襲おうとしたため正体がバレるのだが
(このときの「助けて、偽サマー!」は名台詞だった)下心がなければ
凸守はずっと騙され続けていたのではなかろうか。
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つまり、凸守早苗にとって最も大切なのはマビノギオンの教えであって、
その教えに忠実な人間がモリサマーなのである。
それはふつう原理主義と呼ばれる。
丹生谷森夏は、たしかに自分が作ったマビノギオンなのに、信者から
偽物扱いを受ける。
なぜなら、彼女はもうマビノギオンを信じていないからである。
宗教を作った人間はやがて死ぬが、経典は書き継がれる限りずっと残る。
やがて経典にさまざまな解釈が生まれ分派していく。
数百年後には、創生した人間には思いもよらないかたちになっている。
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本を書いた人と、本に書かれたことのどっちが正しいか、という話は
なかなかややこしい。
現代はメディアが発達しているから、1冊の本を書き終わった人が、
まったく別の考え方になったとしても、時間差なしにその考えを発表
することができる。
だがそれも、本人が死んでしまったら、どうすることもできない。
書かれたものだけが真実になってしまうだろう。
アップデートできないテキストを、いつまでも信じ続けることは
できるのか、と疑問に思うが、実際に信じている人がたくさんいる
のだから、宗教の本質は経典に言い尽くされているのかもしれない。