Boaz2014-01-14

今日の「クローズアップ現代」を見た人はギョッとしたと思う。


「あふれる“ポエム”?! 〜不透明な社会を覆うやさしいコトバ〜」
というタイトルで放送されたもので、居酒屋やラーメン屋などに大書
されている稚拙なことば=ポエムが社会に蔓延していないか、という
問題を取り上げていた。


相田みつを風の書体で、妙にポジティブな、でも意味が曖昧なことばを
見たことがある人は多いだろう。
飲食店の中だけであれば特に問題もないが、役所や自治体がそういう
文体を使い始めており、前向きなことばだけに誰も否定できず、同調圧力
を強めているのではないか、という内容だった。


私がびっくりしたのは「居酒屋甲子園」という催しが毎年開催されている
ことだった。
全国からエントリーした居酒屋の店員が、20分の持ち時間で自分たちが
どれだけ居酒屋の仕事を愛しているかアピールする、という大会である。


正直、気が狂っていると思った。
こんなことをやる前に、労働条件を改善しなければならないのではないか。
ほとんど新興宗教を見ているようで、気持ち悪かった。


こんなことを書くのは、私に友達がおらず酒にも弱いので、この15年は
ほとんど居酒屋を利用していないからだ。
(学生時代はよく行っていた)


しかし、それを差し引いたとしても、やはりどこかおかしいと思わざる
をえない催しだった。
居酒屋で働いている人が求めるものと、客が求めるものがずれており、
結局は従業員の自己満足に過ぎないような気がした。


もうひとつ首を傾げる点は、甲子園と名前がつく全国大会は、少なくとも
高校生が主体でなければならないのではないか、ということだ。
未成年の若者の全国大会、というイメージがあるにも関わらず、居酒屋と
いうことばをくっつけるあたりに、主催者のセンスが光っている。


おそらく、居酒屋で働く若者に、青春とか努力とかの爽やかなイメージを
つけたいのだろう。そうして長時間労働や低賃金を隠蔽するのである。


居酒屋甲子園にマジになっている人たちは、ウーマンラッシュアワー
漫才をどう思っているのだろうか?