NHKのドラマ「メイドインジャパン」が終わった。
日本人を勇気づけようというテーマがあったからか、割りと都合のいい
終わり方になったように思う。
実際は、シャープと鴻海が物別れに終わったように、外資との提携は
難しいだろう。
私はこのドラマを見て、ジャンルの終了について考えた。
クラシック音楽でいうなら、古典派→ロマン派→印象派→近代音楽→
現代音楽という流れがあって、作曲技法はより発展したかもしれないが、
聴衆は減っていった。
いまでもクラシック音楽というと、ロマン派や印象派のレパートリーに
人気があり、イメージとして定着している。
たぶん現代音楽の作曲家は、作ろうと思えばロマン派や印象派っぽい曲を
作ることができるだろうけど、なんとなくモノマネっぽいものにしかなら
ないのではないか。
つまり、あるジャンルには寿命があり、全盛期のものが多くの人に好まれ、
前衛的なものになっていくほど理解できる人が減っていくということだ。
これがどの程度工業製品に当てはまるのかは分からないが、いわゆる白物
家電はクラシック音楽でいうロマン派や印象派に相当するのではないか。
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音楽を、踊りの伴奏のためのもの、という視点から考えると、クラシック
音楽の舞踏曲があり、米国でジャズが誕生し、R&Bからロックが生まれ、
ファンクやヒップホップに発展していく。
(土着の民族音楽は各国で伝統を守っているが、都市化が進むと失われて
いった)
この場合、クラシックの寿命が尽きる前にジャズができて、ジャズの息の
根が止まる前にロックやファンクが産声を上げている。
つまりはイノベーションである。
米国の強さというのはこれで、製造業から金融工学やネット産業に転換
できたことも、同じパターンで考えられるような気がする。
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では日本の製造業はどうなのだろう。
4Kテレビなどを見ると、私には現代音楽への道をひた走っているように
しか思えない。
新興工業国も、今さらロマン派や印象派を作曲しているようで、新しい
ジャンルに転換する力はまだ足りないようだ。
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ポピュラー音楽自体も、誰も聴いたことがないような気持ちのいい音が
生まれていないような気がする。
ポピュラー音楽というジャンルがすでに成熟してしまったのかもしれない。
そうやってだんだんジャンルの成熟が拡大していくと、人類そのものが
「もうやることないから、いいよね」と停滞していく気がする。
これを、もう発展していかないなんてダメだ、と捉えるか、急激なエネ
ルギー消費にブレーキがかかっていいじゃないか、と捉えるかは
人によるのだろう。