Boaz2012-05-27

NHKスペシャル「未解決事件 オウム真理教」を見た。
土曜日にやっていた再現ドラマはくだらない出来だったが、今日やった
ドキュメントの方は面白かった。
やはり元捜査官などの関係者は、死ぬ前に話しておきたい、という心理
が働くのかもしれない。


ただ、私が引っかかったのは、公安が何をしていたのか、ということだ。
左翼・右翼対策に注力し、うっかり足元をすくわれてしまったのでは
ないかと思うが、それでも大失態には違いない。


が、誰か責任者が処分されたという話も聞かない。
もしかしたら秘密裏に左遷させられたのかもしれないが。


しかし、麻原彰晃は世の中の仕組みをよく分かっていなかったのでは
ないか。
仮にサリンで首都圏の人を壊滅させたとしたら、経済的に大混乱になる。
通貨は暴落するだろう。


宗教国家を作るという計画だったらしいから、エネルギー問題も無視
していたのだろうが、食料は誰が作るのか。外国から輸入が止まって
も大丈夫だと本気で思っていたのだろうか。


さらに、自衛隊や米軍が出動したらどうなるのか。ロシアに何度も
通っていたのは、ロシア軍が何とかしてくれると思っていたからなの
か。あまりにも杜撰な計画だ。


そういう荒唐無稽な計画だからこそ、まさか本気でサリンを散布した
りはしないだろう、と公安側も油断していたのだろう。


結局、原発事故と同様に、ふだん想定していないことが起こったとき、
官僚はまったく役に立たない、ということが実証された。
NHKはそういう結論ではなかったようだが、国の組織の劣化は90年
代から進んでいたのだと思う。