はやぶさ 遙かなる帰還

東映版のはやぶさ映画を見てきた。
封切りから2週間で平日のレイトショーとはいえ、観客は私ひとり
だった。


そのことからも分かるように、映画は正直つまらなかった。


なぜか? 
朝日新聞NECが前に出すぎていたからである。
特に吉岡秀隆が演じたNECの社員が、物語にブレーキをかけていた
ような気がする(吉岡秀隆はいい演技をしていた)。


この映画で初めて知ったが、イオンエンジンNECが開発したもの
だった。JAXAにも共同開発に携わっている人がいて、江口洋介
演じていた。


映画のひとつの山場は、こんな事もあろうかとこっそり設計して
おいたバイパス回路、を使うシーンである。
まさにブリコラージュと言っていい、技術者魂に感動する場面だ。


だが、東映版では吉岡秀隆がなかなか首を縦にふらないのである。
メーカー側の主張としては、そんな冒険的なことをやってはやぶさ
が全損でもしたら、せっかく開発したエンジンが売れなくなって
しまう、という理屈だった。


社会人としては分からないでもないが、映画を見ている観客とし
は、白けてしまう。


フォックス版では、その回路を使うことをあっさりと決めて、は
やぶさの推力が回復した。
こういう分かりやすさの方がよかったのではないかと思う。


そのNECも、関連会社を含めて1万人の大リストラを発表した。
はたしてイオンエンジンなどの宇宙関連部門はどうなるのだろうか。
そんなことを映画を見ながら考えてしまった。