ホスピタリティの話

毎日病院に行って親の様子を見ている。
そうすると、看護師のなかにも、ほっとする人とそうでない人がいることが
分かる。


べつに病院はサービス業ではないのだから、いろんなことをしてもらうだけ
でありがたいのだけれど、同じ作業をしても人によってこうも気分が違うか
ね、ということがある。


それは、どんなにマニュアルを厳しくしても標準化できないような、個人の
資質によるものが大きいと思う。


私は日本に暮らしていて、ホスピタリティが過剰ともいえる社会に棲んでい
るのかもしれないなぁ、と思うことがある。
その快適さに慣れてしまうと、ちょっとしたことでイラッとするようになる。


いま「イラッとする」という言葉を使ったが、これはダウンタウンの松本
人志が広めたものである。
この言葉の裏には、享受できたホスピタリティを受け取れなかった気持ちが
ある。本気で怒るには小さすぎるけれども看過できない苛立ちである。


この言葉があっという間に使われるようになった背景には、日本のホスピタ
リティの劣化があるのではないか、と思う。


普段は気にもしなかった細やかな心遣いが失われていき、むき出しの資本主
義がささくれのように心を傷つけていく。
それが「イラッとする」という言葉に表されているのではないか。


しかし、この過剰なホスピタリティのために、過労死するほどの労働を強い
られているとすれば、我々はもっと我慢をおぼえたほうがいいのかもしれぬ。



あ、全く関係ありませんが「エヴァ破」DVDのフィルムはマヤでした。