食事を供されたとき、悪気はないことは分かっていても
「おいしいでしょう?」
と言われると腹が立つ。
「おいしいでしょう?」には、私(たち)はおいしいと思っているの
だから、当然あなたもそう感じますよね、という押しつけがあるから
だ。
いやいや、うまいかまずいかを決めるのは私である。
田舎に多い、このような過剰なホスピタリティは、実は観光客をうん
ざりさせているのではないだろうか。
日本はほかの国に比べてホスピタリティが高いと言われる。
お客さんを親切にもてなすことは美徳とされる。
だが、もてなしが自分本位になっていないだろうか?
これだけ接待したのだから、相手は当然気に入ってくれるはずだ、と
いう思い込みが、逆に不快感をつのらせているのではないかと思う。
田舎に暮らしていると、相手の立場を考えて思考する人が稀であること
が分かる。
ひとの考え方は一朝一夕には変わらないから、まさか自分たちが押しつ
けがましいことをしているとは夢にも思わないだろう。
こうして、リピーターを増やしたいのに、ちっとも観光客が増えないこ
とが続くのである。