マンガ力

雷句誠のブログを読むと、少年サンデー編集部の人はいかにひどいかが書いてある。
一方的に信用できるわけではないが、マンガ家とここまで話がこじれるのは、編集側
にも何らかの問題があると思わざるを得ない。


私が末席をけがしてしたK談社のマンガ編集部にも、人としてどうだろうか、という
編集者はいたけれど、マンガ家に罵詈雑言をあびせるような常識知らずは一人もいな
かった。


当たり前だが、マンガ家をバカにしたところでいい作品ができるわけではないからだ。
もちろん、作品が納得いかない内容であれば、とことん話し合う。
それをいじめだとか嫌がらせと受けとめられないようにするのも、編集の仕事のひと
つではないかと思う。


私は20年以上、毎週欠かさず少年サンデーを買っている。
ここ数年の少年サンデーを読んで感じるのは、マンガ家の絵の力を非常に低く見てい
る作品が多いことだ。


その代表が「ワイルドライフ」である。
このマンガがなぜ小学館マンガ賞を受賞できたのか謎だ。
獣医の話なのに、描かれる動物がことごとく下手である。
私が編集者なら、こんな絵が下手なマンガ家を起用することはない。


ほかの例を挙げれば、「ダレン・シャン」「ギャンブルッ!」「GOLDEN★AGE」「イフ
リート」もそうだ。
物語はそこそこ読めるのに、絵で損をしている。


といっても、絵がうまければいいという問題でもない。
コマ割の演出や迫力といった、総合的なマンガ力があるかどうか、という話なのだ。
少年サンデーの編集部には、総合的なマンガ力を見抜く目を持った人がほとんどいな
いのではないか、と私は思う。


なぜかといえば、マンガの編集をやりたくて配属された人が少ないからだろう。
SAPIOとかCanCamの編集をやりたい人がマンガをやれと言われたら、不貞腐れる人も
いるに違いない。


また、小学館は編集者の異動が多く、入社からずっとマンガ一筋という編集者はほと
んどいないのではないか(K談社にはたくさんいたが)。
そういうシステムだと、マンガに愛のある人は育たないのではないかと思う。


マンガ家は、そういう態度を敏感に感じ取るものだから、小学館では仕事をしたくな
いという人も続出しているのではなかろうか。


ヤングサンデーも休刊するというし、どうやら小学館はマンガ以外の収入源を確保
して、少しづつマンガから撤退しているのかもしれない。
もしそうだとしたら、非常に愚かなことをしていると思うのだが。