- 作者: 磯淵猛,斎藤香織
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/07/10
- メディア: 文庫
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田舎町のちょっとした宿に泊まった翌朝、朝食に紅茶が出たが、ティーバッグのものだった。
がっかりしたけれど、たいていの英国人は便利だからティーバッグを利用しているという。
まあ日本人だって、いつも抹茶をたてて本格的に飲んでいる人は少ないだろう。
伝統的な英国式紅茶が飲みたかったら、調べて専門店に行くべきだったのだ。
この本は、紅茶が好きで好きでたまらない作者が、中国やスリランカ、そして英国の紅茶に
まつわる土地を旅した紀行文である。
たかが紅茶というなかれ、それぞれの土地にはいろんなエピソードがあるもので、著者はユ
ーモラスに語っている。
私の好きなトワイニングのプリンス・オブ・ウェールズは中国のキーマンという銘柄である。
これを英国でブレンドして販売しているが、生産地の工場や茶畑は一般の人が立ち入り禁止
なのだそうだ。
そこをなんとか許可をもらい、工場を見学する作者の熱意には頭が下がる。
英国人がミルクティーにすると最高に旨い紅茶が、わざわざ中国で作られているというのも
歴史の因果を感じてしまう。
そもそも中国人は紅茶を飲む習慣があまりないので、現地の人もキーマン紅茶が世界三大品
種のひとつであることを知らなかったりするのだ。
もったいない話である。
私はストレートティーよりもミルクティーが好きなのだが、日本と英国ではミルクの質がま
ったく違うのだそうだ。日本のように高温で加熱殺菌してしまうと、ミルク本来の味と香り
が飛んでしまうらしい。
実は私は牛乳が嫌いで、給食のときも無理して飲んでいたのだが、あの味の違和感は理由の
あることだったのだ。
きっと英国で牛乳を飲めばおいしく感じられるだろう。
ちなみに私が住んでいる松山市は紅茶の消費量が全国最下位である。
きっとどこかにおいしい紅茶を出す店があるとは思うが、私が入った喫茶店で紅茶を注文し
ても、旨いと思ったことは一度もなかった。
味のレベルは、住んでいる人が決めるということだろう。