臓器移植

愛媛県宇和島市の病院で、臓器売買の疑いがあり逮捕された人がニュースになっていた。
どこでバレたのか分からないが、基本的に警察はそういう事件を捜査しないんじゃないか
と思っていた。
どういう意図があって動いたんだろうか。世間へのアピールか? 


この事件って、売春に似てるなぁ、と思う。
腎臓移植という人命にかかわる外科手術と、セックスとを同列に扱うのは問題があるが、
どちらも
1.家族や親族という愛情や信頼で結ばれた関係で
2.無償で行われる
ことが合法であるとされる。


臓器売買事件で問題とされるのは、赤の他人の腎臓を有料で他の人に移植したことであり、
もしこれが許されるならば、人体に値段がつけられ大っぴらに売買される市場ができる
ことになる。
本人が承諾していれば問題は少ないかもしれないが、借金のカタに腎臓を売らなければ
ならないほど追い詰められる人が出るのは時間の問題であり、行政としては認めるわけ
にはいくまい。


一方、売春はどうかといえば、夫婦や恋人でない者に有料でセックスさせる行為であり、
これは日常的に行われている。
もちろん法律に反しているのだが、徹底的に摘発したという話はあまり聞かない。


また、日本ではダメだから外国に行くという点も似ている。
タイの少年・少女売春よりも、生命がかかっている臓器売買の方が、本人にとっては
切実なことなのかもしれない。
現に、逮捕された人たちも一度は外国で移植手術を検討しているが、600万円かかると
分かり諦めたという。


どちらも、暴力団的な人々が暗躍していそうなのだが、単に違反者を摘発するだけでは
問題の解決にはならないのではないか。
売春はともかく、臓器売買の方は行政や医師会が何らかのガイドラインを示さなければ
なるまい。


ひとつは公的に認めて、厚生労働省が臓器の価格を決めることだ。
こうしてアンダーグラウンドな世界の手から切り離し、誰でも妥当な値段で臓器を
売買できるようにする。
経済格差が広がるのは火を見るより明らかなのだから、貧乏人は腎臓を売れ、という
世の中になってもおかしくはない。


もうひとつは、一般の人からの臓器売買は禁止するが、刑務所に服役している人の
臓器は売買してよいことにする。
もう人権無視もはなはだしいが、腎臓をひとつ摘出することで、刑期を半分にする
ことにしたらどうか。過剰収容の問題も解決できるし、犯罪の抑止効果もあると思う
のだが。


そういえば、亡くなった人からの臓器移植はどうなっておるのだろうか。
需要に対してまったく追いついていないのが現状なのだろうけれど、上記の方法が
まったく現実的でない以上、交通事故や自殺などの遺体から摘出するのが最優先だと
思う。


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