ニオイ

よその家に遊びに行くと、その家独特のニオイがあって、子供心に面白
かった記憶がある。
しかし、自分の家のニオイというのは、どうしても自覚できない。
そもそも、各家庭のニオイは、どのように醸成されているのか、知りたいものだ。


私は、外国の空港では、いつも香水の混じったニオイを感じて、ああ、外国に来たなぁ、
と思う。
それは、デパートの一階や、参観日のときの教室のようなニオイなのだが、外国の免税店の
ニオイは微妙に違うのだ。


嗅覚を言語化することは難しい。
私は、ある香水を嗅ぐと胸がドキドキして身体がふにゃっとなる。
マタタビを嗅いだネコみたい、と言えばいいのか。


だが、その香水の名前も知らない。探したこともあったが、いろいろ匂いを試していると、
どれがどれだか分からなくなってしまい、諦めた。
いまは、香水と縁のない(=色気のない)生活なので、ふにゃふにゃになることはない。
寂しい話だ。


そういえば、「マイケル」というジョン・トラボルタ主演の、それほど面白くない映画が
あった。
トラボルタは天使の役で、いろいろ奇跡を起こす。
なぜか女性にモテモテで、近寄ると甘いクッキーの香りがする、という設定だった。
ふと思い出してしまったが、どうでもいいですな。


外国人は、男性でもわりと香水をつけている。
日本はどうなんだろう。勝ち組企業にお勤めの方は、やはりさりげなく香水をつけている
のかもしれぬ。


いちど、ブラジルかどっかのホテルのエレベーターで、スーツを着た黒人の紳士と一緒に
なったことがあった。
鼻が曲がりそうになるほど香水の匂いがしたが、本人は平気そうだった。
彼はワキガだったのだろうか? 


実は、私は強烈なワキガの人の近くにいた体験がない。
よく、ワキガの人は本人だけ気づかないと言うが、本当だろうか? 
裸の王様みたいに、子供が指摘するのではないかと思うのだが。
もしかしたら、私が実はワキガで、友だちが全員黙ってたりして。
それこそ「稲中卓球部」の田辺のように。やべぇ。