次はマンボで

なぜか、日本ではタンゴ調の曲がときどき大ヒットする。
「黒猫のタンゴ」しかり、「ダンゴ三兄弟」しかり。
南米のリズムが欲しくなるときがあるのかもしれない。


昨年は「マツケンサンバ」がヒットした。
ひとりで江戸時代の「ええじゃないか」をやっているような、むやみに明るい曲だった。
私は、モーニング娘。最大のヒット曲「LOVEマシーン」と同じものを感じた。


1999年のヒット曲と2004年のヒット曲に共通するものは何だろうか?


それは、閉塞している日本の状況を、とにかく笑って吹き飛ばそうという勢いだと思う。
そのグルーヴに、多くの人が開放感を感じたのではあるまいか?


日本の閉塞感は、いまだにある。
むしろ強くなっているかもしれない。


そこで私は、モーニング娘。の曲に、マンボを推薦したい。


マンボ? 
多くの人にとっては、ブーブークッションに座ったときのリアクション時に使われる
「マンボNo.5」を思い浮かべるだろう。同じシーンを何度も再生するときの曲だ。


しかし、マンボはこれだけではない。
「San Remo」や「Frenesi」という名曲を聴いてみてほしい。
あるいは、「Patricia」や「Cherry Pink and Apple Blossome White」のような曲も
いい。


しかもである。
マンボは、そのテイストに、つねにバカらしいほどの明るさがあるのだ。
いや、バカと言い切ってもいいかもしれない。
切ない哀しみを、バカに昇華しているといおうか‥‥。


私は、現在のモーニング娘。に足りないのは、このバカらしさだと思う。
いや、モーヲタには分かるバカ(褒め言葉ですよ)が、一般のリスナーに届いて
いないのだ。
無心になれる弾けっぷり、という言い方だと誰も傷つかないかな? 
エリック亀造のダンスにその片鱗があるやもしれぬ)


現メンバーが一皮剥けるためにも、ぜひマンボをモチーフにシングルをリリースして
いただきたい。なにしろアレンジが派手である。
なんなら、パラダイス山元に「アーッ ウッ!」だけレコーディングしてもらっても
いいではないか。
(えっ、もうオレンジ・レンジでやってる?)


しかし、社会現象的なヒット曲というのは、その曲の出来不出来もさることながら、
時代と寝るような運も必要だ。
こればかりは、プロデューサーといえどもコントロールすることができない。


だが、昭和30年代には、一大マンボ・ブームが日本で起こっているのである。
信じられないかもしれないが、日本中の若者が、いっせいにマンボを踊っていたのだ。
それから半世紀。
私は、再びマンボがブレイクするのを、密かに待ち望んでいるのである。ふふふ。