*[本]街道をゆく7 甲賀と伊賀のみち 砂鉄のみち

タイトルに“甲賀と伊賀のみち”とあるが、それは比較的短くて、多くの
ページをとっているのは淡路島を巡る“明石海峡と淡路みち”と、中国
地方の製鉄について語る“砂鉄のみち”である。


淡路島といえば高田屋嘉兵衛の「菜の花の沖」である。
1979年から連載開始だそうだから、この本で淡路島をまわったあとに
あらためて取材したのかもしれない。


後半の“砂鉄のみち”では、古代に朝鮮半島から伝来した製鉄が、日本の
山陰地方で発展したことを述べている。
当時の製鉄は大量の木炭を使用した。なので、大陸や朝鮮半島では山が
禿山になってしまったが、日本は高温多湿のため国土が禿山になることは
なかったそうだ。
実際には、地道に植林していたからでもあるだろうけど。


また、安来で古くから製鉄を営んでいる田辺家の23代田辺長右衛門が
司馬遼太郎を案内するくだりも面白かった。


現在は25代目があとを継いでいるようだ。
島根県ではいまでも田辺家の支援がないと政治家としてうまくいかない
らしい。


安来の製鉄は、現在では日立金属が行っているはずで、タングステン鋼を
使ったカミソリ用の鋼はジレットなどに使われているそうだ。