Boaz2016-09-04

先月末、朝日新聞で連載していた沢木耕太郎の「春に散る」という小説が完結した。
全505回だから約1年半ずっと掲載していたことになる。長い小説だ。


前半は米国西海岸のホテル業で小さな成功をおさめた元ボクサーの老人が日本に
帰国して、かつて同じジムで世界チャンピオンを目指していた3人の仲間を探す話。


後半は同じ家に暮らし始めた老人たちが、ふとしたことで出会ったボクサーの青年を
鍛え上げて世界チャンピオンに挑戦させる物語だ。


わりとシンプルな話なのにぐいぐい読ませる。
シンプルというより通俗的と言うべきかもしれないが、それを上回る何かがあった
気がする。


たしか連載前に沢木耕太郎が書いていたと思うが、もともとは高倉健が主演する映画の
プロットが没になったものらしい。
そう聞くと、主人公の広岡はたしかに高倉健以外には想像できない。


もし、いま映画化するとしたら誰になるだろうか? 寺島進だとアクが強すぎるし、
草刈正雄もちょっと違う気がする。
役所広司が妥当なところか。


よほどうまく映像化しないと、この小説の良さは分からないかもしれない。