新・オタク経済

新・オタク経済 3兆円市場の地殻大変動 (朝日新書)

新・オタク経済 3兆円市場の地殻大変動 (朝日新書)

オタク的なものが社会で受容されて市場が広がりました、という話をしている。
筆者は特にオタクにシンパシーがあるわけではなく、あくまでマーケティング
ために語っている感じがした。


気になったのは、数々の質問に対してオタクの回答数が少なすぎるので、データ
として信用できないのと、イラストに悪意があることだろうか。



面白かったのは、「オタサーの姫」に関する考察だった。
自分の容姿やスタイルではトップカーストにひしめく女性に太刀打ちできないので、
それほど興味があるわけでもないオタク系のサークルに入り、男にちやほやされる
女性のことである。


こじらせると地下アイドルになるのだそうだ。
もしかしたら声優になりたい人も、オタサーの姫的要素があるのかもしれない。



また、それほど知識や愛があるわけではないのに、自らオタクという属性を
アピールする若者についても語られていた。
芸能人でいえば矢口真里のようなものか。


そのようなキャラ作りをしてまで他人とつながろうとしているのか、と思うと
今の若者のしんどさを感じる。


かつてのオタクは強い疎外感をベースにしていたはずで、私のような世代から
みれば、疎外感のない人はオタクと呼ぶべきではない。


現在はSNSのせいで、強制的に社交を求められる。
昔のオタクのように、あまり世間とつながらず内向きでいられたのは、ある意味
ラッキーだったのだ。


いくつものアカウントを使っていろんな自分を演出するのは、そんなに楽しい
ですか、と言いたくなる。




さて、ここからは話がずいぶんそれるし、ついていけない人もいると思うが、
ちょっと気になることを書いてみる。自分でもモヤモヤしてまとまらない。


上記の「新・オタク経済」には『リア充オタク』というキーワードが出てくる。
今までのオタクのイメージとは違った、オシャレで社交的で男女交際も普通に
できて、なおかつアニメや同人誌が大好き、という若者のことだ。


今だと足立梨花がそのポジションにいるのではないかと思う。
そしてモーニング娘。飯窪春菜も、そのポジションを狙っている。
彼女たちの師匠格にあたるのが中川翔子だ。



で、私がモヤモヤするのは、足立梨花飯窪春菜の好きなものの選び方だ。
いや、足立梨花は全くフォローしてないので、ここからは飯窪春菜だけで考えて
いきたいのだが、彼女のブログを見ていると、かなりの頻度でオタク的なものが
登場する。


ジョジョ」だったり「ハイキュー」だったり、「orange」みたいな少女マンガも
多い。ここ最近だと「おそ松さん」に言及している。
それらについては、たぶん本当に好きだし詳しい。決してエセオタクだとは思わない。


ただ、なんというかその、作品の選び方が素直なんですね。
屈折したものがないというか。
セブンイレブンがキャンペーンで使いそうな作品とでも言えばいいのか。


もちろん彼女はアイドルなので、ブログに挙げる作品にも制約があるだろうし、
自分のイメージをコントロールするのが仕事のようなものだから、うかつなことは
書けないだろう。


そうだと分かっている上で、敢えて私は、飯窪春菜からはヲタ臭が感じられない、と
言うのである。



一方、同じモーニング娘。のメンバーの小田さくらのブログには、かなり強い
ヲタ臭が感じられる。


おそらくキャラが被らないように、先輩である飯窪には遠慮しているのか、
ブログにはあまりアニメやマンガの話題は出てこない。


が、ときどき「35試験小隊面白いっ」とチラッと書いてみたり、ブログのタイトルに
「にゃんぱすー」とか「うまるーん」とあって本文では全く触れない、といった
痛い行為が散見される。


彼女の選んだアニメは、いわゆる「リア充オタク」の目からはこぼれ落ちてしまう
作品ばかりだが、ちゃんと面白い。
私は小田さくらのチョイスの方が好きである。



繰り返すが、私は飯窪春菜がエセオタクで、小田さくらがガチオタだ、と言いたい
わけではない。
オタクカルチャーが一般化して、飯窪春菜のような本来オシャレ界にいる人も
オタクコンテンツを楽しむようになったことは、大変いいことだと思っている。


彼女のようなメジャーなアイドルがオタク文化を広めてくれることは、素直に
ありがたいし、これからも続けていってほしい。


モヤモヤするのは、小田さくらの立ち位置なのである。
もし、小田さくらもオタクアピールをしても、メジャーどころの作品ではない
ので、一般の人がひいてしまうのではないか。
本人もそんな懸念があるから、オープンになれない感じがする。


がんばれ、小田さくら。推しメンではないが、俺は気がついているぞ、と言いたい
のである。



蛇足だが、モーニング娘。工藤遥も「ラブライブ」好きを公言しており、飯窪の
弟子筋のようなポジションにおさまっている。


不思議なのは、なぜ「アイドルマスター」にはハマらず「ラブライブ」にいった
のか、ということだ。


私は楽曲的にもキャラ的にも、圧倒的にアイマス派だが、ハロプロにはアイマス好きの
アイドルは見当たらないのである(いたら教えてほしい)。
むしろ、アイマスの歌をハロプロでカバーしてほしいくらいなのに。


おそらく「ラブライブ」は、一般層から入りやすいのだろう。
アイマスは、どうしてもプロデューサー目線になってしまい、女性がエントリーしにくい
のではなかろうか。
実際のファンの男女比を知りたいものである。