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昔からの伝統だと言われていることは、実はそれほど昔からではないのではない、
ということは、知的なものをちょっとかじった人ならば誰でも分かる事実だと思う。

安倍政権の後ろにいる日本会議は、昔からの伝統を表看板に掲げているが、昔と
いうのは明治30年ごろから敗戦までの、国家神道を通じて国民が国家に奉仕した
時期のことである。

個人が組織のために犠牲になるシステムは、官僚にも企業にも都合がいいので、
日本会議に便乗して個人の自由を奪っている。

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このごろ話題のブラックバイトも、雇う側にとって従業員は店に奉仕する存在に
他ならず、労働と賃金を交換する契約関係ではない、と思っている。

考えてみれば、奴隷制度はエジプト王朝のころから現在までずっと続いており、
これこそ昔からの伝統だと言われれば首肯せざるを得ない。

奴隷制度はいけないことになったのは、全ての人間は自由で平等であるべきだ、と
いう考え方が普及した時代からである。

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この近代的な思想も、人類の歴史からすればそれほど昔のことではなく、西欧の
ローカルな考え方にすぎない。

恣意的な地域や時代の考え方を切り取って現在に当てはめるのを認めるならば、
昭和初期の日本を理想とすることも間違ってはいないだろう。

西欧近代の思想は人類にとって普遍性があるかどうか、というのは、たぶん
頭のいい人がとっくに結論づけていると思うが、私にはよく分からない。

ただ、奴隷制度があるよりは無いほうがいいし、女性や子供に何の権利もないよりは
あったほうがいいと思う。犠牲になる人が少なくなるし、長い目で見れば豊かになる
からだ。

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同様に、国民が国家のために奉仕するよりは、国家が国民のために奉仕するほうが
いいと私は考える。
日本会議が理想とする世の中は、日本会議の人々しか幸せになれないと思うからだ。

安倍政権を応援する人はほぼ全員が北朝鮮や中国共産党をクソだと思っているはずだ。
だが皮肉なことに、国民が国家のために奉仕するシステムは、そのクソみたいな国の
方が優れている。

なぜ日本をそのクソみたいな国のシステムにしようとする政権を応援するのか、私には
よく分からない。

断っておくが、私も北朝鮮や中国共産党は大嫌いである。
繰り返すが、国民＞国家を勝ち取ったのに、わざわざ国民＜国家に戻そうとしている
政治家を応援するのはなぜか、と不思議に思っているのである。